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ぼーっとした意識の中、
視界や聴覚が少しずつ鮮明になっていく。
「…はい、はい。…いいえ、大丈夫ですよ。ただの寝不足だと思います。きっと緊張でよく眠れなかったんでしょう。」
声のする方へ目を向けると、
そこには、見知らぬ女性が机から繋がる受話器越しに誰かと話していた。
「…いいえいいえ、こちらこそよろしくお願いします。………はい、それでは。」
「河上さん、大丈夫?」
寝ぼけているせいか、
意識がまだぼーっとしていて、返事をすることができない。
「河上さん、はじめまして。私は讃良々高等学校の教養員をしている、加藤っていいます。河上さん、貴方がここにくるまでの間、何があったか思い出せる?」
寝起きでまだ声帯が回復していなかったが、返事をしなければとカラカラの声で喋った。
「、、、ぃえ、あまり、、。」
さすがに声が小さすぎたのでは、と心配になったが、先生がすぐに表情が変わり、微笑んでくれたおかげで聞こえたのだと思う。
「、、、なにが、、?(あったのだろう、)」
「えっとね、学校近くのバス停で歩いている時、河上さん、倒れちゃったの。でも、同じバスに乗っていた木下くんって男の子があなたに気がついて、ここまで運んでくれたのよ。」
木下、と聞いた瞬間に、何故かあのバス停にいる男の子が浮かんだ。
透き通った黒髪に重なる長いまつ毛、美しすぎる横顔が、未だハッキリと記憶に残っていたようだった。