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…深い深い森
地上の光さえも届かない深い森
そんな場所に一人俺はいた
俺には少し大きめの白い長袖の服を纏い裾を擦るくらいのダボッとしたズボンに裸足…
そして降りた前髪にいつもの黒縁の眼鏡
周りを見る
暗くて今は朝なのか夜なのかわからない
暗くて周りがよくわからない、でも少し歩いてみようか
裸足のせいだろうか、柔らかい草が当たる感覚がなんともくすぐったい
日が当たらないためか生き物の気配は全くない
でもまあ、こんな所で獣が出てきたら一溜りもないだろう
歩いても歩いてもこの深い森から抜け出せない
それは夢だった
当然と言えばそうかもしれない
だってあまりに現実離れしている
俺はそう冷静に思いながらいつも通りの朝の支度をする
毎日充実している(ちょっと忙しいけど)
毎日楽しい(疲れる日もある)
毎日…苦しい
***
深い深い森
またここに俺はいた
今日は…雨が降っている
小雨だ…
空を見上げる
空は生い茂った木で見えなかったが雨の降る絵が見えた
綺麗だな…
そして雨に濡れるこの感じが気持ちいい
目を閉じ深呼吸をしてみる
ああ、空気が美味しい
空が泣いている気がした
もしかして…この深い森は俺の心なのかな
ふと目が覚めると作業中だったんだろう
机で突っ伏しうたた寝をぶっこいていた
まだ外は薄暗い
今は…一体何時なんだろう
スマホに目をやるとまだ午前3時だった
はあ…
寝てやろうと思ったがやめて作業を再開した
今日は外に出る用事もない
家に篭って仕上げておきたい事が山程あるんだ
***
深い深い深い森
沢山歩いて気がついた
足にじわりと痛みを感じる
足元を見ると切り傷が無数にありうっすら血が滲んでる
そっか夢でも痛みを感じるんだ…
何かに擦れて切れたのか枝でも踏んだか
じわじわと痛みを感じる
でも…多少の痛みは嫌いじゃない
だって生きている気がするから
今日はソファーで寝てたみたいだ
なんだろう凄く頭が痛い…
ゆっくり立ち上がりふらつきながらも腹に何か入れ頭痛薬を飲む
体は熱くない
残念ながら熱は無さそうだ
高熱だったら堂々と休めるのにな
そう思い俺はスタジオに行く準備をする
***
深い深い深い森…
背後から来るこの森の闇に俺は飲まれていくんじゃないか
何故だかそう思えた
すると地に張っていた蔦が足にするすると巻きついてきてそれはすぐに 腕にも巻きついてきた
あっという間に俺は身動きが取れなくなってしまう
足を…腕を…動かす度に余計にしまっていく
ああ、俺は…森の一部になるのかなあ…
最近どうも眠れない
眠れたとしても1時間ほどで目が覚める
だから暇な時間があれば10分でもいいから寝るようにしている
じゃないと本当に…体がもたない
でも外でいる時は何故だか森の夢は見ない
なんなんだろう…
不思議だな…
***
深い深い深い…森
蔦で後ろ手を巻かれて自由がきかない
すると蔦がするすると服の裾から入ってくる
それはくすぐったいどころでは無い
それは俺の胸の突起へと擦ってくる
びくと反応すると動きが早くなると蔦の数も少しづつ増えていって…
「あ…っ」
胸から下半身…首筋から口腔内へと…
それは服の中で蠢いてどんどん俺は…犯されていく
遂に俺は倒れてしまったらしい
テレビ収録が終わった直後に緊張の糸が切れたのか意識を失いぶっ倒れた
周りは相当大騒ぎになった と、病院で目が覚めるとマネージャーにそう言われた
点滴に繋がれた腕を見る
俺…なんだか病人みたいだな…
みんなに悪いことしたな…
体調管理もできてないなんて本当に最悪だ
***
身体を地に押さえつけられ後ろから不意に射れられる
それは蔦ではなくもっともっとぶっ太いモノ
それがぐっと奥までくると思わず声が出た
「あ…、ぅ…」
抜差しされ少しづつスピードが上がっていく
俺は…快楽で朦朧としながらも思った
これって…ヒトじゃない生き物に射精された俺は一体どうなるんだろう
もしかして…宇まされるのかな…
「はっ…あ…っ」
でもこの状況はもうどうする事もできない
そして迫り来る背後からの大きな闇
犯されつつも闇に飲み込まれてしまう恐怖…
身体の自由を奪われ 身体がガクガクと揺さぶられながら俺は…その時をじっと待つしか無かった
「元貴…!」
体を揺られ声をかけられた俺は悪夢から一気に目が覚めた
そこには…
「わ…かい…」
「すっげえうなされてた…大丈夫か?」
若井が心配そうに俺を見つめている
どうやらぶっ倒れて病院にいる俺に会いに来てくれたみたいだ
遅いな…1番最初に会いたかった…
俺は…汗をかいていた
相当うなされていたんだろうな
たかが夢だった
でも…でも…
もし若井が…起こしてくれなかったら…
「俺、看護師さん呼んでくる」
俺の傍から離れようとする若井の腕を俺は咄嗟に掴む
「行っちゃ…いやだ…」
俺は声を振り絞るように言った
若井の腕を掴む手が震える
「怖い…一人が…怖い…」
ずっと不安だったし怖かった
ずっと目に見えない何かに怯えていた
でも助けてって誰にも言えなかった
若井は察してくれたのか俺の手を外しぎゅっと握りしめる
「わかった、一緒にいる」
若井はそう言うと椅子に腰掛け俺を優しく見つめる
「俺…ギリまでここにいるからさ、ずっと一緒にいようぜ」
若井はそう言うと翌日の仕事に行くまで俺の傍にいてずっとしゃべくり倒した
本当に…しょーもない話を…延々と
でもそのおかげで久しぶりに大笑いしたような気がした
そして俺はいつの間にか眠りについていた
もう…夢の中で深い森はいなくなっていた
20250104
今年もよろしくお願いいたします!