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その夜、電気をつけずにふたりで壁にもたれて座っていた。
すみれが静かに言った。
「ずっとここにいられると思ってた」
「誰にも見つからないまま、
ふたりで、だれにも壊されずに、いられるって」
私は答えられなかった。
でも、心のどこかでわかっていた。
“永遠”なんて、幻想だ。
逃げてきた日々が、じわじわと、
すみれの不安を削っていく。
でも。
「壊れるとしても、ふたりで一緒ならいい」
私はそう言った。
それだけは、本当だった。