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私に名は無い。かつてこの世界を創造した者。人類が造物主あるいは神と呼ぶ存在である。

今宵も天の高みからそっと地上を見下ろしていると、私はとある島国の中にひとりの奇妙な男を見つけた。

人類は自らを神の模造物と表現したが、成程、その男はまさに私と瓜二つの姿をしている。興味を持った私は男の様子をしばし見守ることにした。

特異なのは容姿だけではなかった。他者を省みない勝手さ。地位にあぐらをかいた横柄さ。とどまる所の知れない食欲。まるで私の造った人類の醜い部分だけを寄せ集めて生まれてきたようでさえある。

だが、そのあまりの酷さに呆れ果てながらも、私は不思議と愛しさに似た感情を覚えていた。

彼が私と同じ姿をしているのは偶然ではない。

彼の持つ醜さは、何もかも私とそっくりではないか。彼は私の分身だ。彼こそ、まごうことなき神の模造物……おそらくこの地上でもっとも神に近く、またもっとも人間らしい人間なのだ。

取り巻く人々と共に小さな鉄の箱に押し込まれ、身を縮こまらせながらも、彼はどこかを目指している。その行き先に幸あれ、と、私が思った時だった。

「もぉダメェ!!我慢できないナリ!!漏れちゃうナリィィィィィ!!(ブリブリブリドバドビュパッブブブブゥ!!!!!ジョボボボボジョボボボ!!!!!!!ブバッババブッチッパッパッパパ!!!!!!」

人類史上最低の失敗作の奇声があまねく地上にこだました。

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