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前編と後編に分かれます…!!
前編
気付けば私は桜の木の下にいた。とても大きくて、10mはあるように見える。
今は冬なのに満開で、両手で数えれるくらいだが花弁も舞っている。
「…」
見とれていた。
勝手に身体が動いて、その桜に吸い寄せられていく。
不思議な気分だった。
ふと、目線を隣にずらす。
勿論、誰も居ない。
ただ、もう1つ桜が増えただけ。
「‥きれい」
桜は、だんだん私を取り囲むように増えていった。
1番最初の、10mくらいある桜の木の幹を背にして、私は目をつむる。
「…」
身体がふわふわする。
瞼の先に、長い髪の人がいた。きっと、女性だろう。
その人は私に走って近づいてきている。
ばっ、と肩を掴んできた。
その衝撃で私はやっと目を覚ます。
「っ!?」
『はぁ…はぁっ‥あぶなっ…』
息を切らして『危ない』だの『妖怪』と口々に呟く彼女。
あの桜の何が危ないんだろうか。
「‥あれ?」
きょろきょろ周りを見渡しても桜なんてどこにもなく、数本、銀杏が生き生きとしていた。
それを認識した途端、何故かぞわっと背筋が寒くなる。
『貴女‥今、桜に取り込まれそうになってたんですよ…。』
“桜”について説明しだす彼女。要約すると、
・桜は人を取り込み成長する妖怪で、人の幻覚に現れる。
・だが、その人の持つ、人や物への想いが強いと何者かが現れて取り込むのを阻止する。
『‥貴女にはまだ、ここに居て欲しいんですから。』
彼女は墓地を背にして笑った。
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