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ラゼクは数々のヴァレスへの侵入者を排除してきた。戦いが終わったと思うと気が付いたらまた戦っていた。
そんなある日の事である。いつもの様にヴァレスに侵入する者を排除してきたラゼクは古城へと戻り王室の王座に座る。いつもとは違う王室に静寂な雰囲気にラゼクは目を閉じる。
すると、ヴァレスに人々が暮らしていた頃の記憶が蘇り、それがある者によって滅ぼされる記憶へと進んでいく。とっさの記憶にラゼクは目を覚ました。
ラゼク「はぁ。はぁ。…また、この記憶か。…ライラ?」
いつも敵を排除する度に心配して王室まで来てくれたライラが来ない。不審に思ったラゼクはライラの部屋へ向かうと部屋は荒らされて、そこにライラの姿はなかった。
ラゼク「ライラ!!…どこにいるんだ!」
ラゼクは能力でライラの居場所を感知しようとしたが、ヴァレス全体にライラの反応はなかった。
ラゼク「う…嘘だぁぁぁぁ!!!」
ラゼクの悲しみの声がヴァレス島全体を揺るがした。すると、そこに再び魔女ラグロットデヒーテが現れた。
ラグロット「あははは。無様ねラゼク。さっさと宝杯を渡していれば、あんたの妹はこんな目に遭(あ)う事もなかったのにね。」
ラゼク「!!…妹を…ライラを攫ったのは貴様か?」
ラグロット「だったらどうだと言うの?」
ラゼク「貴様。このヴァレスから生きて帰れると思うなよ。」
ラゼクはそう言いラグロットを睨む。
ラグロット「それは私の台詞よ。来なさい。」
ラグロットはそう言うと手を上げる。するとラゼクの周りをたくさんの魔女達が取り囲んだ。
ラグロット「この前の片腕の恨みも込めてあなたには残虐な方法で殺してあげるわ。サシでは敵わなかったけど、これだけの人数ならあなたも無事ではすまないわ。…もし、素直に宝杯を渡してくれるのなら腕の件も考えてやらない事もないわよ。」
するとラゼクから赤くドス黒いオーラが溢れ出す。
ラゼク「死ぬのは貴様だ!!」
ラグロットは号令を出すと魔女達が魔術でラゼクを攻撃するとラゼクの右腕が変化していく。
ラゼク「魔獣の片腕。」
それは一瞬で移動し、周りの魔女全員の首を刎(は)ね、一瞬にしてラグロット以外の魔女全員を殺した。信じられない光景を目撃したラグロットは空間を裂け逃げようとすると金色の鎖が裂け目を封じた。
ラゼク「鎖金の封魔。前回は見逃したが、今回は逃しはしない。」
ラグロットは不意打ちの魔術をラゼクに向けて放つがラゼクのスピードでは簡単に避けられてしまう。すると、ラグロットの両足が吹っ飛ばされていた。
ラグロット「ああぁぁぁぁぁ。」
ラゼク「往生際が悪いな。貴様程度では俺に傷一つつける事などできぬわ。….今すぐにでも殺したいところだが…。」
ラゼクは指を鳴らすとラグロットの周りから黒の壁がラグロットを囲み正面だけ顔が見えるように穴が空いている。
ラゼク「ライラはどこだ?」
ラグロット「はぁ。…はっ…はぁ。殺し…なさい。」
ラゼクはラグロットのもう片方の腕を吹っ飛ばすが、ラグロットはすでに両足が吹っ飛ばされた痛みで失神してしまった。
ラゼク「ふん。もはや声すら出せぬか。貴様が何を言わずとも答えは貴様の頭の中に眠っている。」
ラゼクは左手でラグロットの頭を掴む。
ラゼク「原裏の真波!」
ラゼクはラグロットの頭の中にあるライラを攫った時の記憶を辿っている。少し探しているとそこまで昔の記憶ではないので、見つけるのは容易だ。
ラゼク「これは…貴様。よりによって『タトス』へ連れて行くとは…。ふん。ならば俺が直接手を下すまで。」
ラゼクはラグロットをそこら辺に放り捨て、古城へと向かった。古城の王室にある王座の椅子を横にずらすと地下へ続く階段が現れた。ラゼクは階段を降りていくと、地下に黄金に輝く台の上に眩しい光沢を放つ杯がある。ラゼクはそれを手に取ると呪文を唱え始める。
ラゼク「*****。**。*******。」
すると光沢を放つ杯はラゼクの手のひらへと消えていく。
ラゼク「ふん。とりあえず、目的はタトスだ。今に見ていろ。皆殺しにしてやる。」
ラゼクはヴァレスの端まで行き、そこから飛び降りた。雲を突き抜けて地上の島へと落下した。落下した衝撃で島全体が物凄い地響きで揺れた。
ラゼク「着地したが、この島は?…とりあえず、島全体を探知するか。」
ラゼクは目を閉じ、島全体の地形と生体反応を見る。すると島の端に多くの生体反応を確認した。ラゼクはとりあえず、そこへ向かう事にした。
森を駆け抜けていくと生態系の反応が多く感じられた場所に着くとそこは港街だった。
ラゼク「反応した位置はここか。とりあえず、タトスの情報を聞いてみるか。」
ラゼクは港街に入ると人々が賑やかに暮らしていた。ラゼクは海岸の石の上に立って海を眺めている男に聞いてみた。
ラゼク「すまない。」
街の人「ん?どうした兄ちゃん。その格好…ここの人間じゃないな。」
ラゼク「ああ。さっきここに来たばかりだ。」
街の人「そうなのか。さっきの地響き何だったんだろうな?兄ちゃんも感じたか?」
ラゼク「あ…ああ。」
ラゼク(しまった。久しぶりの着地で加減が分からず勢いよく着地してしまった。)
街の人「まさか、タトスの魔女達の仕業なのだろうか?」
ラゼク「魔女!?」
街の人「何んだ兄ちゃん知らねーのか?ここから北の方にタトスと言う魔女達が住む島があるんだ。あそこの魔女達は自分らの魔術で周りの島に攻撃したり、物資と言い島の若い女を連れて行くんだ。」
ラゼク(ビンゴだ。まさかこんなに簡単に魔女共の住処(すみか)の情報を聞き出せるとはな。)
街の人「兄ちゃん。タトスへ行くつもりなら、やめた方がいい。あそこの魔女達はイカれている。あいつらは平気で人の大切な者を奪っていく。」
ラゼク「大切な者?まさかあんたの大切な人も。」
街の男「ああ。私のたった一人の娘も魔女共に連れていかれました。それ以来帰ってくる事はなく、それでも帰ってくると信じて毎日ここで娘が帰ってくるのを待っているんです。そういえば…自己紹介が遅れましたな。私はタンゾウと言います。港で商いをしています。」
ラゼク「俺はラゼク。俺はタトスへ行かなければならない理由がある。」
タンゾウ「…。止めはしないが、お前さんが無事に帰ってくる事を祈っているよ。」