テラーノベル
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駅前に出て、暇つぶしにカフェに入った。
窓際の席に座り、ぼーっと外を眺める。
あったかいカフェオレを両手で包みながら、あの社長と春樹って本当にそんなに違うのかなとも考えていた。
彼は、社長の出演するテレビを見て、『足元にも及ばない』なんて言ってたけど、そんなこともない気がした。
休みの日には寝てばかりの彼と、休みの日でも仕事をしているあの人と……そもそものスタンスが異っているんじゃないかと思った。
休みに寝ていることも確かに間違ってはいないけれど、ただ『仕事なんて、しようと思えばいくらでもあるしな』と、見つけてでも仕事をする鷹騰社長と、
『休みの日ぐらい、寝かせろよ』と、夕方までも寝ほうけてるような春樹とじゃ、足元にも及ばないのもなんだかあたりまえにも感じられた。
「春樹は、初めから上に行くのを、諦めちゃってるんじゃないのかな……」
そう呟いて、カフェオレを一口飲むと、ほぅーっとひと息をついた。
「……そんなこと考えても、しょうがないか」
二人を比べてみても、当の彼氏にその気がないのなら、仕方ないようにも思えた。
だけど、にわかに大きくなってしまった春樹への不信感は、拭い切れないように感じられた。
もう本当に、別れるしかないのかな……。
彼とは、このままなんとなく結婚するんじゃないのかなとも思ってたのに、それももはや無理なのかもしれなかった。
「はぁーあ」と、またため息がこぼれる。
最近、ホントため息ついてばっかりだなと思う。
『ため息は、やめとけよ。よけいかわいくなくなるぜ?』
さっき鷹騰社長に言われたばかりの言葉が思い出された。
かわいくなくなるか……あなたになんか、関係ないじゃない。
かわいくいられなくなる時だって、女にはあるんだから……放っておいてよ。
そんな風にしか思えない自分は、やっぱり指摘されたように、ちっともかわいくなんてないのかもしれなかった……。
カフェを出て、駅前のモールに服でも買いに行ってみようかなと思う。
服が変わったら彼は気づいてくれるだろうか……それはなんとなく、別れるかどうかの瀬戸際のような気もした。
いくつかのショップを廻って、気に入ったコーデをゆっくりと選んでから、彼の部屋へ戻った。
肝心の春樹は、もうお昼過ぎになるっていうのにまだ起きてはいなくて、ため息混じりに鏡の前で買ってきた服に着替えた。
「どうかな?」と、鏡の中の自分に尋ねてみる。我ながら、ちょっとはかわいげとかも出たんじゃないかなと思う。
「きっと、少しくらいは反応してくれるよね?」
いくらなんでも昨日と全然違う服装になっていたら、さすがに春樹だってわかってくれるんじゃないかと感じた。
彼が起きてくるのを待ってソファーに腰を下ろしテレビをつけると、またあの鷹騰社長が出ていた。
「……すごいな。どれだけ精力的に働いてんだろう」
(あんな人ともし恋愛でもしたら、私までポジティブに楽しく過ごせそうだな……)
一瞬、そんな風にも考えて、私ってば何つまんないこと考えてるんだろうと思った……。
あの人とは、エレベーターでただ乗り合わせただけなのに……。
彼に叩かれた頭に、ふと手をやってみる。
意外と大きな手だったな……大きくて、なんだか包容力がありそうだった……。
鷹騰社長か……でも、ああいう人って、きっとすっごい美人とかと付き合ってたりするんだろうな……。
それこそ、私なんかとは比べられものにならない程の綺麗な女性と……って、これじゃ足元にも及ばないとか思ってる春樹と、考え方がまるでいっしょじゃない……。
救われないな、私も……と、ひとり笑いを浮かべて、せめて春樹が服が違うことに気づいてくれたら、少しだけでも救われるのにと思った……。
──テレビの中のその男は、「モテるんでしょう?」と茶化すインタビュアーに、にこやかに笑って、
「僕は、女性関係はキレイなもんですよ」
なんて、軽口をたたいていた。
コメント
1件
うわああ第7話もめっちゃエモかった〜〜!!😭💕 主人公の「別れるしかないのかな」って胸の内がヒシヒシ伝わってきて、心臓ぎゅーってなったよ…。カフェでひとりカフェオレ飲みながら考え込むシーン、情景がありあり浮かんだし、ため息ばかりの自分を「かわいくなくなる」って言われたの思い出すとこ、すごく切なかった…。 でも最後に新しく買った服で「どうかな?」って自分に聞く姿には頑張れって応援したくなった!🌸 テレビに出てる社長と自分を比べちゃうとこも、春樹と同じ思考になってるって気づくところもリアルでぐっときたよ〜。 次話、服に気づいてくれるのかな…?ドキドキしながら待ってるね!!⋆♡
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