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最近投稿がワンパターンな気がしてならない夏の穂です。
素股っていいよね
冷え切った外気と、ポートマフィアの地下深くのような重苦しい疲労を纏って、中也は帰宅した。
時計の針は午前二時を回っている。数日連続の徹夜と、血生臭い抗争の後始末で、神経はささくれ立ち、思考は泥のように濁っていた。重力使いとして常に身体を制御し続けてきた代償か、限界を超えた疲労が鉛のように全身にのしかかる。
玄関で靴を脱ぎ捨て、荒い足取りで寝室へ向かう。わずかに開いたドアの隙間から、月明かりに照らされた寝台が見えた。そこに横たわっているのは、焦茶色の髪を乱して穏やかな寝息を立てる太宰だ。今日まで、この光景だけを心の支えにして動いてきた。
明日には、ようやくの休みが取れる。上層部からの無理難題も、組織の汚れ仕事も、今はすべて遮断できる。中也は安堵に似た溜息を吐きながら、迷わず寝台へ潜り込んだ。
「ん……」
シーツの冷たさが心地よく、中也の体温を求めて太宰の身体が反射的に寄り添ってくる。中也はためらうことなく、その細い腰に腕を回し、首元に顔を埋めた。太宰特有の、わずかに甘い香りが鼻腔をくすぐる。
重なった身体の温度差が心地よい。中也は喉の奥で小さく唸りながら、太宰の唇に自身のそれを重ねた。深追いするような情欲ではなく、ただ安心を確かめるような、短く湿った口づけ。
「……ちゅうや」
太宰は薄目を開け、眠気で潤んだ瞳で中也を見上げた。明日は早朝から武装探偵社での仕事がある。本当なら一分一秒でも長く眠っていたい。けれど、恋人のボロボロになった姿を見れば、突き放すことなどできなかった。抱擁と口づけくらいなら、まあいいかと微睡みの中で許容する。
しかし、中也の腕は、太宰の許可など待たずに貪欲に彼女の身体を求めていく。引き寄せられる密着感に、中也の額からは汗が滲んでいた。やがて、中也の呼吸が熱を帯び、太宰のパジャマの隙間に手が差し込まれる。
「……抱きたい」
耳元で掠れた声が響く。それは単なる要求というよりも、限界に達した人間が漏らす本能に近い渇きだった。
だが、流石にそれは不可だ。明日の仕事を考えれば、今夜はこのまま眠るのが正解だ。太宰は少しだけ身をよじり、困ったように眉を下げて首を振った。
「無理。明日早いから」
「……」
中也は顔を上げない。ただ、太宰の鎖骨あたりに額を押し付けたまま、動こうとしなかった。その目は充血し、連日の激務が刻んだ濃いクマが、まるで疲弊した小動物のような痛々しい陰影を作っている。普段の強気な面影はなく、ただひたすらに安らぎを乞うていた。
沈黙が流れる。やがて、中也が苦しげに言葉を絞り出した。
「……きとう、だけ」
「だめ」
「……こするだけ。頼む、少しだけでいいから」
太宰は中也を見下ろす。その瞳には、理性などとうに吹き飛んだ、純粋な渇望だけが宿っていた。
普段、傲慢なまでに格好いい恋人が、今だけはあられもない姿で甘えている。太宰の中に、得体の知れない庇護欲が込み上げてきた。仕事の疲れや明日への懸念よりも、このボロボロの恋人を満たしてやりたいという感情が勝る。
「……しょうがないなぁ」
太宰は小さく笑い、シーツを捲り上げた。逃げ場を失った中也の視線が、太宰の露わになった白い肌に釘付けになる。
太宰はゆっくりと、だるそうに、しかし中也に促すように足を左右に開いた。
「……っ」
中也の息が呑まれる音がした。
薄暗い寝室の中で、重なり合う二人の肌が、摩擦の音を立てる。
中也は太宰の太腿の間に自身の身を滑り込ませた。柔らかい皮膚の感触に、中也の身体がびくりと震える。
すり、という微かな音と共に、二人の接点が擦れ合う。素股、という行為は、挿入よりもずっと直接的で、そして焦らされる。太宰の肌の熱が、中也の理性をさらに溶かしていく。
「あ……んっ、……ちゅうや、もっと……」
太宰の甘い声が、中也の鼓膜を震わせる。
中也は太宰の細い腰を強く引き寄せ、自身の身体を押し付けた。ずり、ずり、と重苦しい摩擦音が響く。太宰の長い焦茶色の髪が枕に広がり、その間から覗く濡れた瞳が中也を見つめている。
中也の荒い呼吸と、太宰の少し間延びした吐息が交じり合う。数日分のストレスが、この単純な摩擦の中で急速に排出されていくようだった。中也は、自身の身体を委ねるように、太宰の肩に顔を預け、彼女の首筋に何度も熱い接吻を落とす。
「ふ、あ……っ」
太宰は中也の背中に腕を回し、その短い背中を優しく撫でた。中也の激しい動きに合わせて、二人の体が小刻みに揺れる。
素股特有の、直接的な快楽と、互いの肌の温度。中也は、太宰の皮膚に額を擦り付けながら、まるで自分を溶かして彼女と一体になりたいかのように身体を動かし続けた。
薄暗い闇の中で、二人の情事だけが際立つ。言葉など必要なかった。ただ互いの熱を共有し、この静寂の中で繋がり合うことだけが、今は唯一の救いだった。
「……んっ、……いい、そこ……っ」
太宰の言葉に、中也の動きがさらに加速する。
摩擦音が、やがて水音に混ざり始める。中也の疲弊しきった身体に、太宰の熱い身体が活力を与えていく。互いに愛し、求め合い、眠りに落ちるまでの短い時間を、ただ深く、深く共有する。
明日の朝が来れば、また日常という名の戦場が待っている。けれど、今はこうして、二人の体温だけがこの世界のすべてだった。
中也のクマがついた目が、充足感に満たされていく。太宰は、そんな恋人の髪を愛おしげに撫でながら、もう一度、深く彼を抱きしめた。
静かな夜は、まだ始まったばかりだった。
コメント
5件
何かと思ってみたら…今回「も」めっちゃ良かった…(ズモモモモ) 太宰さんにおねだりする中也が愛いっす…(●´ω`●)中也休めっっ…
うわ、9話まで一気読みしたけど、この回めちゃくちゃ良かった……!中也のボロボロな感じと、それでも太宰にだけは甘えられる関係性が沁みるわ。普段強気なキャラが「こするだけ」って必死に頼むギャップにやられた。素股描写もエロいんだけど、それ以上に互いの体温で癒やされる感じが尊すぎる。明日にはまた戦場に戻るってオチも含めて、この一瞬の温かさが際立ってた🔥 続き待ってます!