「はぁぁぁ〜…」
一段と深いため息が出る。
「随分とやつれてる顔だね?想志。」
「あぁ、こんな顔になったのは主にお前のせいだがな」
「とか言って〜、本当は連れ回されるの楽しいでしょ?」
真緒は生徒会に属しており、2年生にも関わらず、生徒会長にも任命されている。
「ほぼやらされたの雑用なんだが?あと、やつれた原因連れ回したことだと分かってるなら少しは申し訳なくなってくれないか?」
どうやら会長と言うのは名ばかりでは無いらしく、それなりに激務なのだとか。
そのため俺は毎日アイツに駆り出されては手伝いをやらされている。
主に今日やらされたのは生徒会関係の書類の処理、後の体育祭(現在9月)などで使われる備品の確認と運び出しだ。もはや奴隷じゃないか?これ。
「でもまぁ昼休みとかに暇を持て余すよりかはマシでしょ?」
「お前は、な?俺は持て余してたい派の人間なんだ!それ以前何で俺がお前の仕事をしているのか意味がわから…」
「そんなに…嫌だったの…?(チラ)」
「っ、いやまぁ…そこまで悪くは思ってないと言うか…別に運動になるしいいと言うか…」
「うぇーい、想志ちょろ〜いw」
「よしシバくか」
その時
ピーンポーンパーンポーン
「…町内放送?」
「だね」
真緒が相槌を打つ
放送「現在、聖ネアホルス大学院、1年の、刻城知恵喜(こくじょうちえき)さんが…」
…刻城先輩が…?
放送「行方不明、となっております。」
「…は?」
「え?」
俺も、真緒も、その後の放送は耳に入らなかった。今はただ、ただ、放送を流すスピーカーを眺めながら放送で流れた刻城先輩の行方不明の情報を脳で処理することで手一杯だった。
ピーンポーンパーンポーン
「ハッ…」
放送の終わりのコールが鳴る。
「真緒…」
「…うん」
「聞いてたの…幻聴じゃないよな?だって先輩は3日前までスピーチして、連絡も…」
「想志、落ち着いて。」
真緒の落ち着いた声が俺を正気に戻す
「一体先輩に何が…?」
「ごめん、想志。先帰るね!」
「え?おい!どこ行く気だ?」
「ちょっと寄るところがある!」
「は、はぁ…てか足早…」
いつの間にか真緒の姿は消えていた。
(にしても一体…何が起きてんだ?)
仮説未満の思考を巡らせながら帰路を歩む。
この日が、俺の日常の時計(ストーリー)が狂い始めた日だった。
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