「けど美都のチーフへの憧れって、尊敬の方だったんだね」
アミが、キーボードを打っていた手を止め、ふと呟いて、「うん、そうだけど。それが、どうかした?」と、訊き返した。
「なんか美都らしいかなとも思って。美都って、恋愛より仕事が優先って感じもするから」
アミは、たぶん思ったままをなにげなく口に出したに過ぎないことはわかっていたのだけれど、その一言が思いのほか胸にズキンと突き刺さった。
「ああ、うん……」とだけ、曖昧に返事をする。
自分自身でもそういう意味合いで話したんだし、アミにだって決して悪気はないことはわかり切っているのに、なのにどうしてこんなに胸が傷むんだろうと……。
やっぱり恋愛よりも、仕事を優先しているようにも見られてるんだって、改めて気づかされちゃったからかな……。
私って、身長が167センチくらいあって割りと背が高い方だし、あんまり可愛げがあるような見た目じゃないから、きっと矢代チーフだって恋愛をするにしても、私よりもアミやエミみたいに背が低めな可愛いらしい子の方がいいに違いないよね……。
ぼんやりとそんな風に思ったら、涙がじわりと滲みそうにもなって、私は「仕事、仕事」とわざともう一度声に出すと、キーボードをひたすらに叩いた──。
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