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放課後の微光

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放課後の微光

22 - 恋と吟

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2025年08月27日

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「……で、どうするつもり?」


放課後の部室。

涼ちゃんがフルートを磨きながら、

俺の相談を静かに聞いてくれていた。


「だってさ……若井に彼女いるって噂、

やっぱ気になるんだよ。俺、どうしたらいいかわかんねぇ」


机に突っ伏しながら言うと、涼ちゃんはふっと笑った。


「なら、試してみる?」

「試すって……なにを?」

「若井が君をどう思ってるのか、

確かめるんだ。――嫉妬させればいい」

「し、嫉妬!?」


顔が熱くなる。


「そんなことして意味あるのかよ……」


「あるさ。人はね、

本当に大切なものを取られそうになったとき、

ようやく気づくもんだから」


にっこり笑う涼ちゃんの金髪が、蛍光灯に光る。まるで策士みたいな顔だ。


「……協力してあげるよ。

僕と仲良さげにして、若井の反応を見よう」

「え、えええ!?」


俺は真っ赤になりながらも、内心ワクワクしていた。



昼休みの廊下。


涼ちゃんと俺は、わざと距離を近づけて歩いた。


「ほら、元貴、シャツの襟曲がってる」


涼ちゃんが俺の胸元に手を伸ばす。

その仕草にドキッとしたのは、俺自身だった。


「ちょ、涼ちゃん……!」

「自然に、自然に。はい、笑って」


言われるがままに笑顔を作ると

――廊下の向こうに若井が立っていた。

一瞬、目が合った。


……明らかに表情が固まってる。


(やべ……見られた……!)


若井はすぐに視線を逸らし、そのまま早足で行ってしまった。

胸がドキンと跳ねる。


「……気づいたね」


涼ちゃんが小声で囁く。


「若井くん、あれは完全に嫉妬の顔だよ」


俺は手のひらに汗をかきながら、心の中で叫んでいた。


――ほんとに? ほんとに若井、俺のこと……?

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