テラーノベル
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【1年前】
朝5時半、目覚まし時計が鳴る前に、「パク・ジン」の目は自然と開いた
ベッドから身を起こし、さっとカーテンを開けると、大阪のタワーマンションの高層階に差し込む朝焼けの光が部屋をオレンジ色に染める
御堂筋のビル群が夏の朝日を反射し、キラキラと輝く光景が窓の向こうに広がる、ジンは深呼吸して朝の清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んだ
成功したITアプリ会社「WaveVibe」のCEOとして彼の毎日は意識が高く、一切の無駄がない
起き抜けに彼は下の階にある住居者専用スポーツジムへ向かい、バーベルをリズミカルにかち上げる
ワイヤレスイヤホンからはロッキーのテーマがジンの脳内に流れ、一通り朝の筋トレメニューをこなすと、パンプアップした筋肉が盛り上がっている鏡に映る自分の姿に満足げな視線を投げる
鍛え上げられた腕の筋肉が汗で光っている、しかしこれ以上筋肉をつけるとスーツを着こなすのが難しくなる
ここではもうタンクトップしか切れない背中にエラが生えたような筋肉ムキムキマンがそこら中をノシノシと闊歩している
首と肩に肉が付きすぎて首が回らない連中を見て、ああは、なりたくないとジンは思った、自分はプロレスラーではない、運動するのは見た目を気にするのではなく、あくまで健康的に体力を身に着けるためだ
トレーニングを終えると、自宅の浴槽で熱いシャワーを浴びる、上を向くと、端整な顔に水滴がはじけ飛び、その光景はまるで映画のワンシーンのように鮮やかだ
濡れた髪をタオルで拭きながら彼はキビキビと次の行動へと移る、時刻は6時半・・・キッチンでは上半身裸にスウェットズボン姿のジンが朝食の準備に取り掛かる
食パンにバナナとアボカドを丁寧にスライスし、まるでアートのように盛り付け、その上にキムチを乗せる、料理は好きだ、といっても独身男性が作る簡単なものでしかないが、朝日が差し込むダイニングテーブルで、コーヒーの香りに包まれながら、ジンはタブレットで会議資料を読みながら優雅に朝食をとる
壁掛け時計が7時30分を指すと彼はポツリと呟いた
「・・・少し早いけど・・・出勤するか」
ジンはクローゼットへ向かい、スポーツサイクリング用の装備に着替える
ぴったりとした黒のスパッツが彼の引き締まった脚を際立たせ、サイクリング用のグローブを手に滑り込ませる、ウルトラマンのような流線型のサングラスをかけ、大きなリュックを背負うと、まるでアスリートのような雰囲気をまとった
マンションの駐輪場へ降りると、そこには中古の軽自動車よりも高額なマウンテンバイクがジンを待っていた
カーボンフレームが朝日に輝き、ハンドルにはスポーツドリンクのボトルがしっかりと固定されている、ヘルメットを被り、サングラスが陽光を反射する中、ジンは軽くペダルを踏み込んでマンションの地下駐輪場から颯爽と飛び出た
御堂筋の朝は、すでに喧騒に包まれている、車道を埋め尽くす車のクラクション、信号待ちのビジネスマンの足音、街路樹の葉擦れが混ざり合い、大阪は大都会の中心地特有の活気が空気を震わせる
最近では万博の観光客様に、御堂筋の街路樹の夜は季節問わず、イルミネーションが施され、一昔前のトレンディドラマの様に派手に彩られている
ジンの漕ぐマウンテンバイクは大渋滞の車の間を縫うように軽やかに進む
その姿はまるで都会のジャングルを疾走するチーターの様で、信号が赤に変わるとジンは片足を地面につけ、ヘルメット越しに周囲を見渡す
御堂筋の高層ビル群が朝日を浴びて輝き、遠くで通勤ラッシュの電車がゴトゴトと音を立てている、風が彼の頬を撫でて行き、リュックのストラップが肩に食い込む感覚が心地良い
「今日もいいペースだな・・・」
ジンは左手のAppleウォッチで時刻と心拍数を確認しながら小さく微笑み、信号が青に変わると同時にペダルを強く踏み込んだ
マウンテンバイクはまるで彼の意志と一体化したかのように加速し、車の間をスイスイと抜けていく、出勤ラッシュの通行人達がズラズラと民族大移動する、サングラス越しに見える世界は、朝の光に彩られ、ジンの心を高揚させた
彼にとって自転車通勤は健康のためだけでなく、頭を整理し、今日の戦略を練るための時間でもある
「WaveVibe」のCEOとして、今日も完璧なスタートを切るために
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