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「ちぇっ、彼氏持ちかぁ……」


私の言葉にがっくりと肩を落とした彬は、ぐでっと机に突っ伏した。


彬は懲りない。


私と別れてからも、何人かと付き合ったはずだが、いつも長続きしないのだ。


彼は自由奔放な人だから『彼女』に縛られるのが苦手なタイプなのだけれど、そのクセ恋愛したがるから面倒くさい。


「あーあ。新たな出逢いが出来ると思ったのにな……と、夏子、今日あたり久々に飲みに行かね?」


つい今しがたまで机に突っ伏してたと思えば切り替えが早く、思い出した様に飲みの誘いをしてくる。


「あー今夜はちょっと……ってか暫く無理かな」


彬とは数か月に一度、互いの予定が合えば飲みに行く事があるけれど、流石に今は無理だ。


夜尚を外に追い出すのも可哀想だから。


「何でよ? バイト忙しいの?」


バイトはしているけど、母の知り合いが経営している小さな小料理屋で、お店を開けるのが不定期で、月によっては数回しか働かない事もある。


一人暮らしをするまではコンビニでバイトをしていたのだけど、一人暮らしをするにあたって両親が仕送りをしてくれる事もあり、今は小料理屋だけにしている状態だ。


「ううん、そういう訳じゃないけど、ちょっと色々あってね」

「ふーん、じゃあ行ける目処が立ちそうになったら連絡くれよ」

「はいはい、分かったよ。それよりそろそろ講義始まるんだから準備しなさいよね」


時計に視線を移すとそろそろ講義開始の時刻が迫っていたので、準備を促しながらやんわりと彬を追い払い、話を無理矢理切り上げた。


「夏子~待ちくたびれたぞ」


講義を終えて図書館で待ってた尚の元へやって来ると、何冊かの本を積み上げたままの状態で机に突っ伏していて、私の姿を見た瞬間文句をたれる。


「仕方ないでしょ? 嫌なら別の場所で時間潰せばいいじゃない」


そもそも私が付いてきてとお願いした訳でもないのに、何故文句を言われなきゃいけないのだろう。


「もう終わったのか?」

「うん。今日は午前中の講義だけ出れば大丈夫だから」

「そっか。あ、なぁ、この本借りたいんだけど、夏子借りてくれよ」


積み上げられた本の中から数冊手に取って見せてくる。


「カード作って自分で借りれば?」

「いや、それだと身分証提示しなきゃならないだろ?」

「そりゃあね」

「だからやだ」

「何でよ?」

「忘れたか? 俺、一応逃げてる身なんだぜ?」

「逃げてるって、そんな大袈裟な……別に犯罪を犯したわけでもないのに」


確かに『ナオ』の失踪はテレビのニュースになるくらい重大な事ではあるけど、一般人は久遠のメンバーの本名なんて分からないのだから、そこまで警戒しなくてもとは思う。


「それに、俺今女装してんだ。免許証の写真と違うし、絶対変な目で見られるだろ?」

「そ、そう言われてみれば、そうね……分かったわよ。借りてくる」

「サンキュー」


仕方なく、私は尚から本を受け取って貸し出しカウンターへと向かった。


尚が借りたいと言った本は、マイナーな物もあるけど結構メジャーな推理小説ばかり。


なんていうか尚が読書好きっていうのが何だか少し意外だった。


「返却は一週間後になります」

「はい」


カウンターで手続きを済ませて再び尚の元へ戻って行くと、


「彬……」


尚の元には、いつの間にやって来たのか彬の姿があった。

不器用恋愛〜訳アリ女装男子と内緒の関係〜

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