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幻想的な雪景色が広がる山深い村で、若者達が肝試しに興じていた。
寒風が吹き抜け、木々のさざめきが響く中、彼らはドキドキと興奮しながら暗闇の中を進んで行った。
やがて彼らは小さな祠の前までたどり着いた。
「なぁ、本当に雪女が現れるって聞いたけど、マジなのか?」
若者達は怯えながらも興奮を隠せない様子で囁き合った。
ふと、白い雪の中に浮かび上がるような、美しい女性の姿が現れた。
彼女は銀色の髪を風に揺らし、透明な白い衣装をまとい、氷のような青い瞳を持っている。
若者達は息をのんでその美しさに見入ってしまった。
彼らは恐怖を感じるどころか、心が奪われるような感覚に包まれた。
一人の若者、雅也は特に彼女の美しさに魅了され、彼女に一目惚れしてしまった。
それから毎晩のように、雅也は雪女と出会うために、山深い場所を訪れるようになった。
彼らは互いの心を通わせ、言葉を交わさなくても意思疎通ができる不思議な絆を感じた。
雪女は氷の芸術を雅也に教え、彼はその美しい技術に感銘を受けた。
しかし、季節は変わり、春が訪れるころになると、雪女の姿は次第に薄れていった。彼女が山から姿を消すのを目撃した雅也は、悲しみに暮れた。
「なぜ?」彼が声を荒げて問いかけた時、彼女の口から切ない言葉がこぼれた。「私は雪の精霊として、季節に応じて存在する。春が来ると私の力が尽きてしまうのだ。」
雅也は悲しみに打ちひしがれるが、彼女の言葉を受け入れなければならないと悟った。彼らの別れは避けられない運命だった。
しかし、雪女が消えた後も、心の中に残った彼女の思い出はいつまでも輝き続けた。
雅也は彼女との出会いを通じて、人と妖怪の境界を越えることの美しさを学んだ。
時が経ち、雅也は成長し、自分自身を受け入れた。
彼は彼女との別れが辛くても、人々と共に生きていく決意を胸に秘めた。
そして彼の作品には、雪女との出会いから受け継いだ美しさが息づき、人々の心を打ち震わせた。
美術館へ作品を展示していた雅也の元に1人の女性が現れた、彼女は白いドレスを纏っていた。
「綺麗な氷像ですね、誰がモデルなんですか?」
その綺麗な声は、透明な水のように滑らかに響き渡り、心に深い響きを残した。
雅也はその声に聞き覚えがあった、ゆっくり振り向くとそこには白い雪の中に浮かび上がるような、美しい女性のあの彼女がそこに居た。