『繫縛の楔』〜私はこの檻から逃げられない〜
第2鎖 『甘くて苦いスイーツはいかが?』
『何度言えば分かりますか?主様はここから逃げられないんですよ?』
『なんで、こんなことするの…っ。こんなの私は望んでない…っ。』
『だって……自由にしたら色んな男に言い寄られるじゃないですか。』
『っ…。』
『そんなの俺は耐えられない。だからここにいれば主様はどこにも行かない。それがいいんです。ずっとこの屋敷で俺と一緒にいればいいんですよ。』
ロノは私の頬に優しく触れる。
『そんなの、やだ…。』
『!』
『私はここから出る……。こんな指輪のロックなんて壊してやるんだから!』
グッとフォークを握りしめ、指目掛けて刺そうとする。
グサッ!!
『…痛いじゃないですか。主様。』
ロノの手の甲にフォークが刺さる。
『ぁ…っ。』
『あぁ、でも、主様に傷付けられた傷だから嬉しいかもな……。ふっ…。』
ペロッ。ロノは手の甲を舐める。
『ひ…っ!』
(狂ってる…っ。)
『さ、主様。』
ロノはプリンに自分の血を垂らす。
『食べてくれますよね?俺の愛情がこもった…スイーツ。』
『そんなの食べたくな――。むぐっ!』
強引に口にスプーンを咥えさせられる。
『う、んぅ……っ。ゲホ、ゲホッ!』
(苦い、苦すぎる……っ。)
『知ってますか?お菓子に自分の血を入れると、恋が叶うって。俺の気持ち受けとって下さいね。』
ロノはプリンを掬い、私の口へ再び運ぶ。
数時間後――。
『おやすみなさい。主様。また明日。』
私は口元の血を拭い倒れ込む。
『ぅ、ひっ、ひっく…。誰か――助けて。』
私は泣きながら眠りにつく。
明日の希望のない朝日を望んで――。
次回
第3鎖 『お肉は元気の源』
コメント
2件
はわわ……っ。そんな風に言って頂けて凄く嬉しいです!!
次回が楽しみです♪