コメント
0件
放課後。
雪乃は死神と合流して、高等部の校舎前にやってきていた。
「………」
ごくりと息をのむ。
高等部には怖いことがいっぱいだ。
「じゃあ行こっか。部室にいるみたいだから」
死神に連れられ、高等部へと侵入する。
誰とも会わなければいいが。
「…おい、あれ」
そんな雪乃を、木陰から見ていた人物たちがいた。
「ありゃぁ草凪の妹じゃねぇか?」
「間違いない。あの赤髪に黒いマフラー」
「なんでこんな所に」
1人の大柄な男がニヤリと笑った。
「こいつぁ、使えるかもしれねぇなぁ」
高等部の廊下を歩く死神と雪乃。
中等部の生徒がここにいるのが珍しいのか、すれ違う高校生達の視線が痛い。
場違い感凄まじい。
「…死神くんはよくこっち来るの?」
「うん。ゲーム実況の活動は大体高等部の部室の方でやってるから」
最近はゲーム実況が界隈で流行っているらしく、ネット上で有名人達が大会でコラボしたり、プロチームが世界大会に出たり、若い人たちにも人気の分野になってきている。
かくいううちの学園にもゲーム実況部があり、たくさんの生徒達が所属している。
その中でもグループを作ってグループで活動しているところもある。
死神もそのゲーム実況部で日常組というグループに所属している。
ゲーム実況部のグループに所属している生徒は特別に、中等部と高等部関係なく一緒に活動することが許されている。
その生徒数が多いことからゲーム実況部の棟があり、各々の活動する拠点がそこに集合していた。
二人はその棟に入り階段を登った。
「着いたよ」
そしてとある部屋の前にたどり着いた。
ドアにかかっているドアプレートには日常組と書かれている。
「お疲れ様でーす」
死神がいつものように部屋に入る。雪乃も続いて入室する。
「お疲れさま、で〜す…」
「おう、お疲れ…って、え!?雪乃ちゃん!?」
部屋のソファーで寛いでいたのはオレンジの髪色に黄色いパーカーを着た日常組の一員、ぺいんとだった。
「ぴかぁ?」とぺいんとの肩口からひょこっとピカチュウが現れる。
「あ、ども〜お久しぶりです〜」
「え、なんで雪乃ちゃんがいるんだ?」
「あれ、珍しいお客さんだね死神さん」
日常組の他の一員、猫耳パーカーに淡いグレーの髪色のクロノアと、顔の描かれたビニール袋を頭に被ったトラゾーも雪乃がいることに驚いた。
クロノアの隣にはニャオニクス(♂)が静かにこちらを見ていた。
「なんとサプライズで雪乃ちゃんを連れてきちゃいました〜」
「ちょっと待って死神くん、言ってなかったの?」
「うん。言っても良かったんだけど言わずに連れてった方が面白いかなって」
楽しそうに笑う死神に何も言えなくなる。
くそ、可愛いな。
「な、なんでいるの???え、マジでなんで???」
「ぴか、ぴかぴか???」
「落ち着いてぺいんとさん、実はこれには訳があって」
「なになに、え、もしかしてドッキリ???俺だけ???え、クロノアさん知ってた???」
「ぴっか、ぴかちゅう???」
動揺するぺいんとの真似をしてキョロキョロするピカチュウ。
「いや、俺も知らない…トラゾーは?」
「俺もマジで聞いてない、どゆこと、これ」
突然の来客に取り乱す死神以外のメンバー。
「ちょっと、ドッキリとかじゃないから!聞いて聞いて!」
「えーと、皆さん突然来てしまってすいません。実はですね、ちょっとお聞きしたいことがありまして…」