「涼ちゃん、ご飯できたよー。」
元貴の声で目が覚める。そっか、昨日元貴の家に泊まったんだった
「涼ちゃん、今日はうちに泊まりな。」
「え?」
「明日若井は夜に帰ってくるんでしょ?俺が快眠フルコースを振舞ってあげるよ。」
「お母さん・・・!」
「誰がお母さんや。」
宣言通り、元貴は美味しい夜ご飯、温かなお風呂、ちょっといいお酒、温かな寝床(僕のお気に入り元貴宅ふかふかソファー)。そして今、目の前には栄養満点朝ごはん。
「お母さんありがとう!」
「誰がお母さんや。」
「いっただきまーす!」
一口食べる。
「おいしー!本当に元貴なんでもできるね!?」
「涼ちゃんの口に合ってよかったよ。」
元貴と一緒にご飯を食べてると
「若井は何時頃こっちに着くか涼ちゃん聞いてる?」
「詳しくは聞いてない。昨日の夜寝ちゃったから、若井から連絡来てるかも。」
スマホを開くと
「あれ?」
「どうしたの?」
「通話履歴ある。」
「ふーん・・・。」
「でもこの時間僕寝てたよね?」
「涼ちゃんのことだから寝ぼけてスマホ触ったんじゃない?」
「若井との電話が日課になってたから、無意識に出ようとしたのかも。」
滉斗に悪い事しちゃったなぁ。
「涼ちゃん。すぐには難しいかもしれないけど、ちゃんと若井に気持ち話すんだよ?」
「はーい。お母さん。」
「もういいって。」
仕事を終えて滉斗の家に行く。貰ってる合い鍵で中に入ると、当たり前だけど滉斗の匂いがした。テーブルの上には揃えられたリモコン。脇のラックには音楽雑誌。滉斗らしく、整理整頓された部屋。
(僕とは大違いだなぁ。)
なんで滉斗は僕なんかを好きになったんだろう?
以前から聞きたかったけど、魔法が解けてしまいそうで怖くて聞けなかった
だから、滉斗の前ではなるべく笑顔でいようと決めた
僕の笑顔がすごく好きだと言ってくれたから
少しでも、この魔法が続くように願いを込めて
「・・・か・・・、・・・。」
「ん・・・?」
いつの間にかソファーで眠ってしまっていたようで、ゆっくり目を開けると
「滉斗・・・!?」
目の前に滉斗がいた。
「ただいま、涼架。」
「おかえり!ごめん、寝ちゃってた。」
慌てて起き上がると、隣に滉斗が座った。そして笑顔で両手を広げる。僕も笑ってその腕の中に飛び込んだ。
「今帰ってきたの?」
「ちょっと前。涼架の寝顔見てたら時間が経ってた。」
「えぇ?!はずっ。起こしてよ!」
「いいじゃん。それより渡すものあるから。」
「お土産?」
立ち上がった滉斗は、ソファーの陰から何かを取り出した。
「流石に108本は用意できなくて21本だけど・・・。」
青いバラの花束、その中央に1本黄色いバラの花があった。その花束を抱えながら、ポケットから取り出した小さな箱を開ける。その中には、輝き光る石が付いた指輪が入っていた。
「本当は涼架の誕生日に言うつもりで指輪準備してたんだけど、涼架を不安にさせたままじゃ俺が嫌だから。」
片膝をついて箱を差し出す姿は、まるで映画のワンシーンの様だ。
「俺とずっと一緒に居てください。」
滉斗の言葉を瞬時に理解できなかった。
「これって・・・どうゆう・・・。」
多分今僕は間抜けな表情をしているだろう。
滉斗は苦笑いしながら、再び隣に座った。
「涼架さん。」
「な、なに?」
「俺と結婚してくれませんか?」
「はぇ?!」
びっくりした拍子に目から涙がぽろぽろと零れ落ちるのを感じた。その涙を、滉斗は優しい手つきで拭ってくれる。その温かさに、さらに涙が零れた。
「厳しい道のりになるのは分かってるけど、涼架と一緒なら乗り越えられると思う。だから、秘密の恋から秘密の結婚に昇華させてみない?」
滉斗は僕の左手を取ると、指輪を薬指に付けてくれた。
「愛してるよ、涼架。」
「!?」
「ずっと大事にする。」
「滉斗・・・。」
「答え、聞かせて・・・?」
滉斗はずっと考えてくれてたんだ
それなのに僕は・・・
きっとこれが最後の恋
これから先、滉斗以上の人は現れない
だから
「不束者ですがよろしくお願いします。」
コメント
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あらぁお母さんさすがだねぇ このプロボーズいいねぇ
💙のプロポーズ、良すぎます✨ でも、同じぐらい♥️のお母さんも好きです!笑 何回もお母さん!と私も呼んじゃいました🤭