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『さて、もうそろそろ戻ろうか。』『あぁ、』
僕は、立ち上がる。
『琥珀、これを、持っててくれないか…』
一冊のファイルを、琥珀さんに渡す。
『その子を、連れていくのかい?』
僕は、茜さんを持ち上げた。
『はい、1人は、寂しいと思うので…』
『そうか。』
僕たちは、進む。
そして、出口が見えた。
外に出ると、
もう、日が昇っていた。
船で、幸の鳥島まで戻る。
『こちらはお金です。お受け取りください。』
お金…
かなりの額だ。
でも、嬉しくない。
今、一番欲しいものは、
お金では、買えないから。
まぁ、お金で、できることもあるか…
お金を、受け取った。
そして、
幸の鳥島に着いた。
船を降りる。
『さて、今日はこれでお暇するよ。また会おう。』
レインとリンネが去った。
その後ろ姿を、ボーっと見つめた。
『どうして、茜ちゃんがこんな目に遭わなきゃいけなかったんだろう…』
『・・・』
わからない…
それが、茜さんじゃなくて、僕だったら…
僕だったら良かったのに…
『くぅっ!』
悔しい。
琥珀さんさえ、幸せなら、
もう、全てがどうでもいい。
茜さんを、近くにあったベンチに寝かせて、
『ファイル、いいか?』
琥珀さんから、ファイルを受け取る。
人狼実験体名簿。
そう書かれていた。
ファイルをめくる。
そこに、その人物と思われる写真と情報が記載されている。
そして、
あった。
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ZOZq年.B月時点 ”現在脱走中”
薄藤.茜[ウスフジ.アカネ]
番号.WJ736
誘拐時期.ZOIb年S月IO日、年齢.推定3歳
生年月日.不明
血液型.人狼A型
家族情報.全員殺害済み
持病.心臓弱体病.中、現在.中
精神状態.人間不信対人恐怖症.弱、現在.中
途中確認、うつ病,現在.中
使用薬種.精神安定剤×135. 心臓強化薬×17.
HC-22×83.RNV56×59…ULF-60改良型×1
血液使用者.
HN140、死亡
HN217、反応.異常※その後死亡
HN147、反応.弱
HN131、反応.強※平均の人狼の力とほぼ同じ。
WJ921、一部使用
WJ921、反応なし
WMWMWMWMWMWMWMWMWMWMW
何だよこれ…
小さな頃だろう写真も貼られてある。
怯えた顔。
3歳にして、こんなところに閉じ込められたのか…
その続きは、どんなことをしたのかなど、かなり詳しく書かれていた。
暴力は当たり前。
見ているだけで気持ち悪くなる。
やめよう。
続きを見てられなかった。
『銅?どうしたんだ!』
この声は…
如月…さん…
『甘師匠、急に辞めるってどうし………え、』
茜さんを見たのだろう。
悲しげな声が聞こえた。
『何が…あったんだ…』
それは…
『僕が……コロしたんだ……』
また、涙が溢れた。
『・・・』
皆が、黙った。
しばらく、沈黙が続いた。
『銅。よく、頑張ったな…』
頑張れたのだろうか。
違う。
頑張りが、足りなかった。
だから、助けられなかったんだ。
『来年は、海や滝、祭りを楽しめるといいね。』
そう言っていたのに、
行けなかった。
来年すら来ていない。
オムライスだって、作ってみたいって…
もっと、茜さんとやりたいことが、たくさんあったのに…
2人を守ると決めたのに、
守れず、叶わなかった。
嫌になる。