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ゆっくりと歩きながら、俺は勇気を出して言った。
「一緒に暮らそう。今の保育園から近い場所に新しいマンションが建ったんだ。そこに3人で住みたいと思ってる。すぐにでも、いいだろ?」
彩葉は急な申し出に戸惑っているようだった。
引っ越し、家賃のこと、これからの生活のこと、簡単ではないことはわかるつもりだ。
「俺は君の夫になる。雪都の父親になるんだ。君が保育士を続けたいならもちろん応援する。でも、生活の一切、経済的なことは何も心配してほしくない」
彩葉はなかなか「うん」とは言わなかったが、最後は納得してくれた。
何度も謝る彩葉に、俺は続けた。
「俺は『この人さえいてくれれば安心だ』と思ってもらいたい。経済的なことだけじゃなく、いろんな面で頼れる男になる。だから、精一杯甘えてほしい」
いつか、心からそう思ってもらえるよう、もっと仕事に精進していく。
人間性も磨いて、雪都の父親として恥ずかしくない自分になる。
一つ一つ、まだまだ修行だ。
これから、3人でどんな未来を築いていけるのか楽しみで仕方ない。
大好きな君と可愛い雪都と……
大切な2人の笑顔、絶対に消さないから。
安心して、俺に着いてきてほしい。
「慶都さん、今日は本当にありがとうございました。すごく楽しかったです」
「俺もだ。明日また連絡するから。おやすみ」
「はい、お待ちしてます。おやすみなさい」
2人きりの幸せな夜はあっという間に終わりを告げ、浴衣も、屋台も、君と見た素晴らしい夜の景色も……
今夜の思い出は1つ残らず心のアルバムにそっとしまった。
明日からは、今までとは違う人生が始まる。
期待は膨らみ、自然に高揚するこの気持ちを抑えることなんて……俺にはできなかった。