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花火大会からしばらくして、私達は一緒に暮らし始めた。
高級感溢れる立派なマンション。
ここが建った時には、保育園の先生達が「いつか住みたい!」ってみんな話してた。
まさかそんな憧れの場所に住めるなんて、本当に夢みたいで。
今までのマンションの数十倍はあるキッチンやリビング、ちゃんと私の部屋も、雪都の部屋もある。
家具は、慶都さんが気に入って使っていた高価な物も持ち込んでもらって、その他必要な電化製品、カーテンや小物なんかは2人で1から買い揃えた。
慶都さんの物選びのセンスは抜群で、私にはない感性を持っている。
おかげでこんなオシャレで洗練された空間になり、私にはちょっともったいない気がしてる。
だけど、暮らし始めるとすごく快適で心地よくて、とてもリラックスでき、今はここが大好きな場所になった。
でも、何よりも幸せなのは、親子3人で一緒にいられること。
慶都さんは、九条社長と私の父に、3人で生活していくことを直接会って話してくれた。
九条社長とお母様はすごく喜んでくれたみたいで、ちょっとホッとした。
近々ご挨拶に行く予定で、今からドキドキしてる。
慶都さんには、絶対に大丈夫だから安心してって言われたけど、九条家の嫁に私が相応しいのかっていう不安も正直まだあった。
私の父には慶都さんが頭を下げてくれて、一緒にいた私も、その誠実な姿に胸を熱くした。
びっくりしてたけど、でも実はお父さん、何となく慶都さんが父親なのか? って、少しは思ってたみたいだった。
確証はないけど、どんどん似てくる雪都を見てそう感じてたって。
それでも、ずっと口にせず、私達を見守ってくれてたことには本当に感謝しかない。
『慶都君なら安心だ。彩葉を……どうか幸せにしてやってほしい。頼んだよ』
親としての思いが詰まったその言葉に、慶都さんは「彩葉さんと雪都君は、必ず私が幸せにします。ですから、何も心配せず安心して下さい」と、自信を持って言ってくれた。
それを聞いて、父は目にいっぱい涙を溜めて、ウンウンって何度もうなづいた。
母にも報告したいって言ったら、その場で父が電話してくれて、ちゃんと伝えることができた。
母も、電話の向こうで泣いていた。
2人とも、心からホッとしたようで、私達のことを最大限に喜んでくれた。
『彩葉、良かったね、幸せになるんだよ。慶都さんと雪都と3人で、必ず、必ず幸せに……』
母の深い愛情がこもったその言葉の重さが、今の私には十分に理解できた。
簡単に「幸せ」は手に入らないって。
母は身をもって体験してきたから、私に同じ苦労はさせたくないんだって、痛いほどわかる。
落ち着いたら、3人で会いに行くからね。
私は……絶対、幸せになるよ。