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父の初恋、母の初恋、それぞれの初恋とその後。

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父の初恋、母の初恋、それぞれの初恋とその後。

33 - 第33話 冬の悲しい思い出は春の訪れとともに終わる。-助かった麗華-

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2024年01月17日

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通報から5分後、警察と消防、そして鷲雄さん達が来た。

俺は鷲雄さんの前に出て「すみません。麗華さんはギリギリ守れましたが虎徹くんが怪我をしました」と謝ると鷲雄さんは「バーロー!お前は我が家の救世主だ!男の傷は勲章で女の傷は作っちゃダメな奴だ!俺の姪を守ってくれて感謝する!ありがとう!!」と言いながら抱き締めてきて照れた。


そしてタバコ臭い。

鷲雄さんも亀川なので俺は「ごめん、亀川無理」と言いたくなった。



この後は少しバタバタとした。

俺は事情を知る者として警察に同行する事になり、麗華さんと同じパトカーに乗った。

鷲雄さんの奥さんは虎徹くんを病院に連れて行く救急車に乗り込んで、正宗くんと宗光くんがコンビニで事情を話した後で自転車に乗って一度帰ってから病院に合流する事になった。



パトカーの中で警官に「あの、さっきのはこの子の叔父一家で…、この子の親御さんに無事を知らせたいんです」と言って貴子さんの携帯にかけるとワンコールもしないで電話に出た貴子さんは声が震えていて「薫くん?麗華?麗華は?」と言っていたので「大丈夫。ギリギリセーフでしたよ。ただ虎徹くんが怪我をしましたから鷲雄さんと連絡とってください。今から警察に行きますから龍輝さんと来てください」と説明すると、「良かった。ありがとう薫くん」と貴子さんが泣いている声が全部聞こえていて警官は少し呆れながらも優しい顔をしていた。


「はい…麗華さん。貴子さん心配したから謝りなね」

「…あ…うん」


電話を取った麗華さんは「お母さん、怖かった…怖かったよぉ…。虎徹が来てくれて守ってくれたけど殴られて血が出て…もうダメだって思ったら薫くんが助けてくれたよ」と泣いて電話先の貴子さんが「バカ!心配したんだよバカ!」と言って更に泣いた。


そして俺のスマホはムービー撮影と通話の使いすぎで電池切れになって証拠映像がすぐに出せなくて警察署でご迷惑をおかけした。



事の経緯は簡単だった。

大学の3人組が講義中に話していた通り、これから中3になる中2か高3になる高2は襲われても進学に悪影響だからと泣き寝入りをするから狙い目で何人も食い物にしてきた手腕で麗華さんを襲おうとしていた。


名目は未経験者の初体験のお手伝い。

そして主犯格の弟が麗華さんと同じ学校の優等生で今までも言葉巧みに女子を誘っていたと言うことが判明した。


虎徹くんを殴った子は初体験に誘って貰えた中学生の子でお年玉から一万円も払ったのに虎徹くんの登場で一万円がふいになると思いカッとなって殴ったと言っていた。


麗華さんは家と近所、学校での誹謗中傷に疲れた所に「兄貴のバイト先が焼肉屋で肉を食わせてやるから行こうぜ。女の子連れてくとタダで良いっていうんだ」と誘われて、普段なら断るが、何もかも嫌になっていて誘い文句に乗って家にいたくないからとコッソリと出かけていた。


俺は何者かと聞かれて麗華さんの母親と俺の父親が親友同士だと説明した為に家に電話が行き、父さんが「亀川貴子…今は田中貴子とは親友同士で息子の事も面倒見てくれているので頼んでます」と説明して納得をされていた。


それまで5つも年下の中学生彼女を守る淫行大学生だと思われていたらしい。



警察署にはすぐに貴子さんと龍輝さんが来た。

貴子さんは麗華さんに、抱きついて泣いた後で俺の前にきて「薫くん、本当にありがとう。なんてお礼を言っていいかわからないよ」と言ってくれた。


「平気ですよ。俺よりも鷲雄さん達に言ってください。声を荒げて自転車借りたし、虎徹くんには道案内も頼んで怪我までさせちゃいました」

「もう、昴ちゃんみたいに優しいなぁ。今度お礼するからね?」


俺が「散々お弁当貰ったからチャラですよ」と言うと貴子さんが「かなわないなぁ」と言って泣いた。


「龍輝さん。出しゃばってすみませんでした」

俺が頭を下げると龍輝さんは土下座をしてきて「済まなかった!今回は本当に助かった!」と謝ってくる。



イカツい龍輝さんに土下座をさせている風に映る俺を見る警官さん達の目が痛い。

やめて、ねえやめて。


そこに、鷲雄さんが追いついてくれて「龍輝、それは後だ、相手のガキどもとその親と落とし前の話すんぞ」と言うと警官が2人の見た目に反応した。

鷲雄さんに「あ?俺は被害者の親だ、こっちは未遂だが連れ込まれそうになった俺の姪の父だ」と言われて丁重に扱われていたが何故か車のトランクとポケットの中を見せてくれと言われていた。



相手の親はすぐに弁護士帯同でやってきた。

何かの間違いだと叫ぶ親に「見ます?」と声をかけて再生したのは嫌がる麗華さんの手を持っている連中の動画。


だがすぐに「それだってあのアバズレが誘ったって事も」と失礼な事を言って居直ろうとしたので「麗華さん、スマホ貸して」と言って弟の方の誘いメールを見せた。

それでも罪を認めなかったので俺はとっておきを再生した。



「本当に中学生なんかとやれんのかよ?」

「あ?余裕余裕、受験前なら泣き寝入りするぜ?」

「ほ…本当なんだな?」


「がっつくなよチェリー」

「中学生もなかなかだぜ?今度機会があったら誘ってやるってこの前から言ってるだろ?」



動画にうつる三馬鹿を見て顔面蒼白になる相手の親と弁護士。

授業妨害で文句を言ってやろうと思って動画を撮っておいたし、これは正宗くんに「すごいバカが居たから今度動画撮ってきてあげるね」と約束していたのが功を奏した。


弁護士は勝ち目なしと判断して即時撤退をしてしまい相手の親は残された方法として泣いて謝ってきた。


その態度にキレた鷲雄さん達は冷静な判断が出来なくなっていたので「貴子さん、意見しても良いかな?」と聞くと「してして」と言われたので前に出て「はい!提案です」と言って「虎徹くんの治療費を出してくれて、後は余罪を全部話すなら示談でも良いですよ?」と言ってみた。


相手の親は「それでは意味がない」と言ってきたが「じゃあ今日は話すことが無いので後日という事で」と言って切り上げさせて被害届はあえて保留にした。


俺の横で麗華さんが「わぁ、薫くんってば頼もしいね」と言うが俺にその自覚はない。「そうでもないよ。母さんならどうするかとか思いながら真似しただけだよ」と言って笑っておいた。母さんならもっとドギツいことをしただろうなと思う。


この後で虎徹くんの病院まで皆で行くと検査結果は問題なし。

虎徹くんは俺を見るなり「薫くん!殴られてバカに戻ったかも!またテストで20点に戻りたくないから勉強見てよ!」と言い出した。

俺が答える前に麗華さんは「ダメ!薫くんに教わるのは私だよ!」と言った後で俺を見て「薫くん!50点超えたんだよ!」と教えてくれた。

「良かった、頑張った甲斐があったね」と言うと麗華さんは真っ赤な顔で照れていた。


ちなみに虎徹くんは後頭部に七針の大怪我を負った。

だが本人は「男の勲章ゲーット!」と喜び「お父さん!本当にひと針縫うたびに臨時小遣いくれるの?」と言っている。


「ああ、約束だからな。ひと針2000円だな」

「やった!これでゲーム機買えるじゃん!」


ガッツポーズで喜ぶ虎徹くんに鷲雄さんが「まあ今回は麗華のためだから龍輝が全額払ってキリが悪い金額だから色付けてくれんだろうぜ」と言うと貴子さんも「そうだね、アンタのお小遣いからだしなよ」と言う。


この会話で俺はなんで貴子さんがいまだに怒っているかが気になって聞いてみた。



そしてまさかの理由に俺はキレた。

父の初恋、母の初恋、それぞれの初恋とその後。

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