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Final Chapter:星を選んだ日
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あれから3年
【2028年・秋/ソウル・国立劇場】
世界的ライブツアー《THE ETERNAL SET》の最終公演。
だが、そこに「終わり」の空気はなかった。
MCもアンコールも、すべてが「これから」を見据えたものだった。
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ステージ中央、
白いドレスではなく、シルバーのジャケットにショートブーツ。
強く、凛とした姿のキム・ミンジュが立っている。
照明が彼女の表情を照らすと、
観客の息が止まった。
「これが最後じゃないよ」
彼女は笑った。
それはかつて“沈黙”に囚われていた少女ではなく、
自らの意思で“アイドル”であり続けることを選んだ、生きる伝説だった。
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🎤【Final MC】
「私は、今日を“区切り”にはしません。
今日が“通過点”だと、ちゃんと自分に言い聞かせてます。」
「私はこれからも歌います。踊ります。
アイドルとして、生きていきます。
気まぐれなステージでも、“本気”の人生を、見せたいから。」
客席の誰もが、ただその背中を見ていた。
立ち上がらない。泣かない。
──彼女の選んだ「続き」を、心に刻むために。
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【楽屋/BTS全員集合】
ホソクがにやけながら言う。
「ミンジュ、引退っぽくなるMCはダメって言ったじゃん?」
「いや、“続行宣言”でしょ?」
ジンがツッコミを入れ、
ジョングクは静かに笑っていた。
「俺、もっとギター練習します。
今度は、ヌナのバックバンドじゃなくて、コラボ曲やりたいんで。」
「…かわいく言っても、断るかも。」
「え。」
ミンジュの冗談に、みんなが吹き出す。
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【テヒョン × ミンジュ】
公演終了後、会場を出た夜の駐車場。
ふたり並んで歩きながら。
「アイドル、まだやるって?」
「うん。やっと“怖くなくなった”から。」
「BTSと並んでても?」
「BTSは“超えてはいけない”存在。
でも、隣には並べるかもしれないって、最近思うの。」
テヒョンはしばらく黙ってから、
ミンジュの肩に軽く手を置く。
「じゃあ、またステージでな。」
「うん。“伝説の妹”は、まだまだ伝説になる。」
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【後日/記者会見】
「キム・ミンジュ、2029年から年間固定ツアー始動」
「“沈黙の歌姫”から“生きる炎”へ──」
「キム・ミンジュ自身が制作したファンに向ける新アルバム制作決定」
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🌙【エンディングモノローグ】
“静かに咲いて 散っていく”そんな未来も、
少しは憧れてた。
でも、私はまだ歌いたい。
まだ見ぬ誰かのために。
そして、もう一度自分のために。
“伝説”なんて、誰かが決めるもの。
私は、ただステージに立つ──
それだけで十分。