今書いてるこのシリーズはちょっと重いお話です。誰かが亡くなる描写はないです。
苦手な人も多そう、、😶頑張って書いてるので読んでくれると嬉しい🕊𓈒 𓂂𓏸
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〜nico side〜
行かないで。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
深夜2時。妙な夢を見て目を覚ます。ゆっくり息を吐いて身体を起こすと、背中は僅かに汗で湿っていた。
『西、もしうちがいなくなったらどうする?』『地の果てまで追い回す!それか死ぬ!』
『重すぎ笑』
撮影後、突然始まったもしもの話。
何気ない会話から生まれた小さな不安が夢に出てきたのだった。この歳にもなって悪い夢で寝付けなくなるなんて情けないけど、そんな今どうしてもりほに会いたい。
こりゃ、本気で好きだな。そんなのとっくに分かってたけど改めて実感する。
電話をかけようとした手を思い直すように止める。
「起きてる訳ないか」
きっとりほはもう寝ているだろう。
起こす訳には行かない。会いたいなぁ。
ふるふると頭を振って、キッチンへ水を取りに行こうと立ち上がる。
ブー、ブー、ブー、
先程ヘッドボードに置いた小さな液晶が着信を知らせ、微かな光を放つ。
りほかもしれない、なぜだかそんな予感がして、期待に胸が高まった。
りほだ。
応答ボタンを押して、液晶を耳に近づける。
「もしもし西、起こしちゃった?」
「ううん、今寝れなくて、起きてたとこ」
「良かった、あのさ」
「うん」
「西がいなくなる夢見てさ、なんか怖くなった。」
「うそ、ほんとに?」
「ほんとだけど」
「うちも、うちもりほが居なくなる夢見て起きたの!」
「は、まぎか、、きも〜」
「ねぇほんとに笑」
こんなところでもシンクロするか。
こういう事がある度につくづく思う。きっと元々りほと私はひとつだったんだ。なにかの間違いでふたつにわかれちゃっただけで。神様のイタズラかもしれない。
「ねぇりほ」
「にし」
見事にピッタリ声が重なって、もう逆にうんざりしてきちゃう。りほの言いたいことはわかるし、りほもきっと分かっているんだろう。
「せーので言おうよ」
りほの提案には乗らない。
「やだ、私が言う」
「なんだよ笑」
だって私が言いたいんだもん。こんなわがまま言えるのは相方である私の特権なんだから。
「言ってどうぞー」
面倒くさそうなりほの返事。でも本当は面倒くさいなんて思ってないことも、知ってる。
「りほちゃん会いたいな」
「いいよ、うちも西に会いたい。」
落ち着いたりほの声に、少し鼓動が速くなるのを感じた。
どんな夢をみたの?電話を繋げたまま2人で話しながら、上着を羽織って鍵をポッケに突っ込む。
「じゃあ今行くよ」
私がそう言うと、いや、来なくていいよとりほの声。
どういうこと?聞くより前に答えは返ってきた。
「西、鍵あけて」
「はっ?」
「ほんとは電話かけながらもう歩いてた。会うって決めてたから。」
「勝手すぎだろ笑」
やっぱり最高だな、りほがいない世界なんて考えられない。
りほを家に入れて、ソファに座る。わざとリビングの照明はつけずに、キッチンの淡い照明だけをつけた。
「ねぇりほ?」
「なに」
躊躇いがちに口を開く。
「一生とか絶対とか、りほは信じる?」
「信じない。絶対なんてないもん、でも、」
りほが私と目を合わせる。
「あんたとは絶対、一生一緒にいる。」
言葉の意味は、親友として生涯を過ごすこと。嬉しさと悲しさで感情はごちゃごちゃ。
「それって矛盾してない?」
確かにね、なんて笑いながら、何故か2人して泣きそうになって。
星を見よう、りほが急にそんなことを言い出してカーテンを開く。
「こんな夜中に何してんだよ」
「電話かけてきたのあんたじゃん」
夜空に視線を向けたまま笑いあった。
その時、淡い光が夜空を横切った気がした。
会話が止まる。沈黙の空気を震わせたのはりほだった。
「西、見た?」
「え、だよね?」
「あの日と同じだね。一生一緒にいろって神様が言ってんだよ。」
奇跡みたいな出来事に盛り上がって、話題は彼氏オーディションの話になった。
「結局、やるの?」
「うん、やるよ」
りほの答えに、笑顔で楽しみだね、と応える。
ちゃんと笑えていたか、少し心配だけど。
あっけなく私の恋は終わった。
でも、これでいいのかもしれない。丁度いいタイミングなのかもしれない。
諦めれば、親友としてずっと一緒に居られるのだから。そんな想いを乗せて口を開く。
「じゃーりほちゃん」
「ん?」
「一生一緒に居てね」
当たり前でしょと笑うりほ。月明かりに照らされたその目に、僅かに涙が浮かんでいるように見えた。
明日も撮影があることに気づき、私の家で一緒に寝ることになった。
布団を出すのは面倒だからと同じベットに横になる。
「なんか今日はすごい日だったね」
「星にまた応援されちゃった、夢もシンクロしてたし」
「西とうちって、絶対前世はひとつだったよね」
「ねぇ待って、それ今日同じこと考えてた」
「こっわ」
「ね、おやすみ」
数分後、りほは静かになって、眠りについたことを知る。
失恋の実感が湧いて、堪えていた涙が溢れてきた。しょうがないじゃないか、親友なんだから。最初っから、好きになっちゃいけなかったんだ。
それに、親友としてでも一生一緒に居ると言って貰えた。
言い訳をしても、心はちっとも軽くならない。
眠っているりほの方を向いて、なるべく小さな声で、伝える。
「りほ、好きだったよ。」
私の恋心は、星空と一緒に、思い出として綺麗に心の中に閉じ込めた。
親友として一緒にいられる喜びと同時に、こんなに近くても絶対に恋人にはなれない絶望。体が指先まで冷えて、消えてしまいたいほど苦しい。
こんなに本気で好きだったんだ。
寒さのせいにして、私は一晩中震えた。
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いつもいいね押してくれる方ありがとうございます!頑張れます🤍´-
コメント
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先程プリ小説でコメントしたものです!!主様のこの暗い系の物語主様の書き方が上手すぎたて入り込んじゃいます、、だいすきです♡