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【亮くんの嫉妬】
友人の集まり。
何気なく隣の席にいた男友達と笑いながら話していたとき――
ふと視線を感じて振り返ると、少し離れた場所に彼がいた。
亮くん、
心配だからと言って着いてくると聞かなかった。
彼の目は笑っていなかった。
帰り道、無言のまま歩く彼の横顔は、どこか不機嫌そう。
「……亮くん?」と声をかけても、返事の代わりに手首を掴まれた。
次の瞬間、路地裏に引き込まれる。
驚いて見上げると、彼の瞳が真っ直ぐに私を射抜いた。
「……さっきの男、誰」
「ただの友達だよ」
そう答えても、彼の眉間の皺は消えない。
「俺以外に、あの笑顔見せるな」
低く、抑えた声に胸が高鳴る。
「……もしかして嫉妬してる?」とからかうと、
彼はわずかに口角を上げ、顔を近づけた。
「そうだよ。俺は嫉妬深いって、知らなかった?」
囁くと同時に、腰に手を回され、逃げられない距離に閉じ込められる。
唇が重なり、思わず声が漏れそうになる。
「……これでわかったでしょ。俺は、〇〇だけのもの。
〇〇だって、俺のものだ」
その独占欲に、胸の奥まで熱くなった。
家に着くなり、玄関のドアが閉まった瞬間――
背中が壁に押し付けられた。
「……まだ消えない」
低く響く声が耳元で震える。
「何が?」と聞き返すと、彼はすぐに答える。
「さっきの、お前の笑顔。……俺以外に見せたやつ」
そう言うと、指先が頬をなぞり、
そのまま顎を軽く持ち上げられる。
「なあ……俺の前だけで笑ってよ」
距離が一気に詰まり、唇が触れる寸前で止まる。
「……ダメ、我慢できない」
その一言と同時に、深いキスが落とされた。
息が苦しくなるほど長く、強く。
腕の中で必死に呼吸を整えると、
彼が少し意地悪そうに笑う。
「これくらいしないと、わかんないでしょ」
そのまま抱き上げられ、リビングへ。
「……今日は絶対、離さない」
独占欲と甘さに包まれた夜は、長く続いた。