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・本人様関係ありません
・アンチやめてください
・BLです(lr愛されです)
・口調注意⚠️
・ギャングの名前が思いつかなくてリコリスの名前借りてますが、MAD town関係ないです。もし気分が害された方がいたらお教え願います🙇♂️
〜設定などは1話をご参照ください〜
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kn『』
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署長室を後にして、ほんの数分後だった。
キィィィン——
警察署中に、けたたましい警報音が鳴り響く。
襲撃。
警察署、襲撃。
だが――不思議なことに、混乱はなかった。
怒鳴り声も、悲鳴もない。
視線を走らせると、そこには銃を構え、冷静に動く署員たちの姿があった。
位置取り、カバー、連携。
誰一人、無駄な動きはしていない。
――強くなったな。
胸の奥で、そう思った。
〈敵、地下通路に残存。
あそこが最後だ〉
無線越しに届く、落ち着いた声。
その直後、背後から聞き慣れた声がした。
(……勝てますよね、ロレさん)
――勝てる。
そう、確信した。
バン、バン、バン。
地下通路に銃声が反響する。
だが次の瞬間、空気が一変した。
ドサッ。
仲間が倒れる、重い音。
(ロレさん!!!)
(来るな!!!!!)
後輩の、悲鳴に近い叫び。
嫌な予感が、背筋を駆け上がる。
視線を前に向けた瞬間、
――そこに、立っていた。
会いたくなかった人物が、二人。
『ローレン〜』
『久しぶり〜。警察に戻ったんだね』
叶の、あまりにも軽い声。
ローレンは即座に銃を構えた。
……が。
バン。
乾いた音と同時に、左脚から力が抜けた。
「……っ」
感覚が、消える。
――撃たれた。
膝が崩れそうになるのを、歯を食いしばって堪える。
脚に手を当てながらも、銃口だけは下げなかった。
[ひどいっすよ、ロレさん]
[そんな顔でこっち見ないでくださいよ]
小柳の声は、相変わらず軽い。
『あ〜あ』
『ローレンのせいでさ』
『この街、崩壊しちゃうよ』
楽しそうに、心底楽しそうに笑う二人。
銃声よりも、その笑顔の方が――
ずっと、恐ろしかった。
ローレンは、震える息を抑えながら、銃を構え続ける。
――それでも。
ここで、引くわけにはいかなかった。
「俺のせい? ……ハハ」
乾いた笑いが、喉から零れた。
「笑わせるなよ。
こうなってるのは、全部お前たちが原因だろ」
『んー?』
叶は首を傾げるように、穏やかに言った。
『違うよ、ローレン』
『ローレンが僕たちから“逃げた”から、こうなったんだ』
『逃げ出さなければ、誰も死ななかった』
『ね? とっても簡単な話でしょ』
――は?
意味が、理解できない。
こんなことをしているのはギャングだ。
自分じゃない。俺は、警察だ。
……警察、だった。
もし。
もし、あの時――逃げなかったら。
二人のそばに、留まっていたら。
誰も、傷つかなかったんじゃないか?
その考えが、毒のように一気に頭を満たした。
「……俺の、せい?」
『そうだよ』
叶は微笑む。
『ぜーんぶ、ローレンのせい』
『ローレンが悪いんだ』
「……は……」
視界が、滲む。
気づけば、涙が溜まっていた。
(ロレさん!!!!)
――え?
その声は、はっきりと耳に届いた。
(ロレさんは何も悪くない!!)
(そっちに、行っちゃダメだ!!)
次の瞬間だった。
バン。
一発の銃声。
視線を向けると、小柳が冷たい目で銃を下ろしていた。
その先――後輩が、倒れている。
「……待て!!」
「やめろ!!」
脚の痛みも忘れて、駆け寄る。
「なんで……なんで、こんな……」
後輩は、血に濡れた手でローレンの服を掴んだ。
それでも、その顔は――笑っていた。
(ロレさん……)
(ロレさんは、自分の正義を貫いてください)
震える声で、はっきりと。
(これは……僕の、正義です)
「やめろ……」
「まだ……行くな……」
願いは届かない。
後輩は、そのまま静かに息を引き取った。
――年下だ。
まだ、未来があった。
やるべきことも、守るものも、これからだった。
『ローレン』
叶の声が、追い打ちをかける。
『これも、ローレンのせいだよ』
『今も上では、みんなローレンのために戦ってる』
『この子みたいな子』
『もっと増えても、いいの?』
――やめろ。
――話すな。
『もしさ』
『ローレンが僕たちと来てくれるなら』
『この戦い、終わりにするよ』
選択肢を与えるふりをした、脅迫。
無線に耳を傾ける。
叫び声、焦る指示、途切れる通信。
……明らかに、人が減っている。
――終わらせないと。
ローレンの中で、何かが軋む音を立てた。
正義か。
命か。
その境界線が、今、壊れかけていた。
ローレンは銃を構え、小柳に向けて引き金を引いた。
だが、震える手は狙いを定めきれず、弾は掠りもしなかった。
『ハァ……
ローレン、まだ分からないの?』
「……お前らこそ、何も分かってない」
声に、悔しさが滲む。
「あいつらは命をかけて、俺のために戦ってくれてるんだ。
なのに、ここで俺が折れたら……
あいつらに顔向けできないだろ」
怒りを込めて言い返す。
だが、その言葉は二人の前では、あまりにも軽かった。
『戦いが始まる前はね、
みんなローレンを守りたかったのかもしれない』
叶は、責めるでもなく、諭すように続ける。
『でも今はどう?
本当は、自分の命を賭けて戦いたくないのかもしれない』
胸の奥が、ざわつく。
『もしかしたらさ……
誰も、本気でローレンを守ろうなんて思ってないのかもよ?』
その声は、優しい。
だからこそ、心を深く抉ってくる。
頭では分かっている。
自分が正しいことも、選ぶべき道も。
それでも——
自分が、間違っているような気がしてしまう。
『ローレン』
静かに、名を呼ばれる。
『本当に、その言葉……
信じていいの?』
「……」
否定できなかった。
ローレンは拳を強く握り締める。
何度も、自分は正しいのだと言い聞かせる。
けれど、
叶の言葉が、
無線越しの声が、
絡みつくように思考を邪魔してくる。
「……行く」
声は、あまりにも小さかった。
自分でも、聞き取れたか分からないほど。
けれど、その一言を――
叶と小柳が聞き逃すはずがなかった。
小柳は一瞬だけ目を細め、それから無線に手を伸ばす。
[全員、撤退。
繰り返す、作戦終了。即時撤退]
無線越しに、次々と応答が返る。
銃声が止み、警報が遠ざかっていく。
――終わった。
そう理解した瞬間、ローレンの全身から力が抜けた。
赤い車の後部座席。
無言のまま揺れる車内で、窓の外を流れる街を見つめる。
見慣れたはずの景色が、どこか遠い。
(……違うんです、署長)
胸の奥で、言葉にならない声が響く。
(俺は「正義のために戦う」って言いました)
(でも……本当は、違う)
怖かった。
どんなに逃げても、
どんなに足掻いても、
この二人は追ってくると分かっていた。
こうなる未来も、
薄々、分かっていた。
それでも。
(……奇跡に、賭けたかった)
ほんの一瞬でいいから、
普通に息ができる場所に行きたかった。
自由に、なりたかった。
(これは……俺の正義なんかじゃない)
(ただの、俺の我儘だ)
窓に映る自分の顔は、ひどく弱そうで、情けなかった。
(ごめんなさい)
誰に向けた謝罪なのか、自分でも分からないまま。
ローレンは、ゆっくりと目を閉じた。
赤い車は、静かに夜の奥へと消えていった。
ru視点
この家にロレさんを連れてくるのは、二度目だ。
一度目は、ほとんど強制だった。
選択肢なんて与えず、ただ囲って、連れてきた。
でも今日は違う。
今日ここにいるのは――ロレさんが、自分で選んだ結果だ。
それが、何よりも嬉しかった。
叶さんは、見るからに機嫌がいい。
隠そうともしていない。声も、動きも、全部が浮き立っている。
一方でロレさんは、ひどくボロボロだった。
体も、心も。立っているだけで精一杯なくらいに。
それなのに。
――綺麗だな。
弱って、削れて、それでも折れきっていないその姿が、どうしようもなく美しく見えた。
『ねぇ、ローレン。
これからは、ずっと一緒だよ』
返事はなかった。
拒否もしない。
肯定もしない。
ただ、諦めたように視線を落としたまま。
「……俺は一生ここにいるから。
だから、仲間には手を出さないでくれ」
その言葉に、叶さんの目が一瞬だけ曇った。
ほんの一瞬。
でも、確かに。
それでもすぐに、いつもの笑顔に戻って。
『当たり前だよ』
嘘か本当かなんて、もうどうでもいい。
可哀想なロレさん。
全部奪われて、何一つ持たずに、ここに立っている。
そのくせ、まだ守ろうとしている。
今にも溢れそうな感情を、必死に堪えている。
目の端に滲んだ水滴が、落ちるのを拒んで震えている。
――ああ。
可哀想で。
可愛くて。
愛おしい。
気づけば、体が勝手に動いていた。
そっと、優しく抱き寄せる。
壊れないように。逃げないように。
[もう、大丈夫ですよ]
[……もう、離さない]
腕の中で、ローレンは何も言わなかった。
それでいい。
言葉なんて、もう必要ない。
この人は、ここにいる。
それだけで、十分だった。
ローレンは何も言わなかった。
抵抗もしないし、泣きもしない。
ただ、そこにいた。
自分で選んだ檻の中で、
誰かの「正しさ」と「優しさ」に包まれながら。
それが救いなのか、破滅なのかは、
もう誰にも分からない。
——物語は、ここで終わる。
以上です。
ご愛読ありがとうございます♪
思っている以上に残酷でローレンがとても可哀想になってしまいました。今後ローレンはどうなるのか、それは皆様の想像にお任せします。
第10話までお付き合いありがとうございました!