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「ここ、すごくイイじゃん」
友也は一目で宿泊地が気に入った。
美奈が予約したのは『山のキャンプ場』ではなく、
リゾートホテルの敷地内にある『キャンプ・ガーデン』だった。
スマホで注文すれば、切った食材がホテルから届く。
ドリンクもスイーツも豪華なメニューが揃っている。
後片付けは、ホテルのスタッフがしてくれる。
「沙耶も来ればよかったのに」
「いいじゃない。楽しみましょ」
友也と翔太がバーベキューコンロに食材を並べていると、
美奈が彩を連れてきた。
急に現れた『元カノ』に友也は驚いた。
「彩ちゃん、友達と来てたんだって。すごい偶然ね」
「そこでお姉さんと会って。ビックリして。友也、久しぶり」
嘘の上手な女たち が口裏を合わせている。
友也は二人の言葉をそのまま信じた。
「じゃあ、友達は帰ったの?」
「はい。御祖母(おばあ)さんが急に倒れて。で、私も帰ろうと思ったんですが」
「一緒に食べましょ。友也、いいでしょ?」
「う、うん……」
彩は翔太を気遣って、優しく家庭的な女を演じた。
子供好き をアピールして、細々(こまごま)と世話をする。
それを美奈が大袈裟に褒めた。
「彩ちゃんは優しくて親切ね」
「彩ちゃんが友也と結婚してくれたらよかったのに」
「今からでも遅くないよ」
最近の沙耶は、不機嫌で友也に冷たい。
寝る場所も別で、会話も減っている。
(確かに 彩の方が可愛いかも)
(姉ちゃんとも 気が合うみたいだし……)
酒の力、美奈の言葉、彩の献身的な態度。
友也は、彩と付き合っていた頃を思い出した。
(もし、彩が浮気してなかったら……?)
(結婚してたのかな……?)
フワフワ想像していると、美奈が席を立った。
「じゃあ、私たちはホテルに行くわね」
「え?」
「あんなテントで寝るのは嫌よ。私と翔太は部屋を取ってるの」
美奈は翔太を連れてホテルに向かった。
バーベキュー場には友也と彩だけだ。
二人はテントで一夜を明かすことになる。