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淡希蘭央⛄💎 現在低浮上
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部屋は静かだった。
時計の針の音だけが、かすかに響く。
勝利は眠っている。
規則正しい呼吸。
さっきまで苦しそうだった顔も、今は少し落ち着いていた。
聡はベッドの隣に置いた椅子へ座ったまま、静かにその寝顔を見ていた。
起きないように。
物音を立てないように。
呼吸すら浅くなる。
……眠った。
ちゃんと。
それだけで、少し安心する。
聡はゆっくり息を吐いた。
長く。
張っていた糸が、ようやく少し緩む。
視線が自然と、勝利の頬へ向く。
薄い傷。
そして。
背中の怪我。
思い出す。
部屋に戻った時の光景。
苦しそうな顔。
弱い声。
そして――
動こうとして、崩れた瞬間。
聡の指先が少し止まる。
静かな部屋。
誰も見ていない。
誰にも聞かれない。
だからこそ。
ぽつりと零れた。
「……怖かった」
小さい声。
自分でも驚くくらい。
弱い声だった。
聡は少し目を伏せる。
「もう少し遅かったら」
そこで言葉が止まる。
考えたくない。
考えるだけで、嫌な感覚が走る。
勝利がいなくなること。
それだけは。
嫌だった。
こんなふうに思うのは、護衛失格なのかもしれない。
守る対象に、情を持ちすぎるのは危険だ。
冷静でいなければならない。
判断を鈍らせてはいけない。
……分かっている。
分かっているのに。
聡は小さく額を押さえた。
「俺が離れなければ」
珍しく、後悔が滲む。
いつもなら防げた。
先読みできた。
なのに。
今回は遅れた。
間に合わなかった。
それがずっと引っかかっていた。
「……ごめんなさい」
本当に小さい声。
誰にも聞こえないくらい。
謝る必要なんてない。
そう言われるだろう。
でも。
守れなかった時間があった。
それが許せない。
沈黙。
静かな夜。
その時。
ベッドの上で、勝利が少し動いた。
聡の視線がすぐ上がる。
「……ん」
寝返り。
少し苦しそう。
眉が寄る。
悪夢?
聡は迷わなかった。
そっと立ち上がる。
起こさないように。
静かに。
勝利の前髪を少し避ける。
「大丈夫です」
眠っていても聞こえないはずなのに。
それでも言う。
低く、落ち着いた声。
「ちゃんといます」
すると。
勝利の表情が少しだけ緩んだ。
呼吸も落ち着く。
聡は一瞬止まる。
……安心してる。
自分がいることで。
そう思った瞬間。
胸が少しだけ締めつけられた。
そして。
ほんの少しだけ。
口元が緩む。
誰にも見せないくらい、小さく。
「……困った人ですね」
静かな声。
でも。
その声は、少しだけ優しかった。
そのあとも。
聡は一度も眠らなかった。
ただ静かに。
勝利の隣で、朝が来るまで見守り続けた。
コメント
1件
第12話、読み終えたわ……。 めっちゃ静かで、でもすごく心臓が締め付けられる話だった。聡があんなふうに弱音をこぼすの、初めてかもしれない。普段あれだけ完璧な護衛の兄ちゃんが「怖かった」「間に合わなかった」って言うの、堪えた。あの「ちゃんといます」のシーン、優しすぎて泣きそうになったよ……ずっと隣で見守ってる聡の、その一言一言が刺さるわ。続きが気になる🔥