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「何をどうしたら王族にと言う話になるんでしょうねぇ。」
モリアンは不思議そうに話している。
「私が聞きたいよ、ちょっとあっちの世界の事教えただけなのにねー。」
千春も不思議そうに返事をした。
「チハルは嫌なんですか?」
「嫌じゃない・・・多分、ただ嬉しさ半分、不安半分、混乱半分・・・・」
「何個半分があるんですか・・・。」
呆れたようにサフィーナは千春につっこみを入れる、そして王妃の部屋に着くと4人は部屋に入り侍女3人はお茶とお菓子の準備を始める。
「メグ様はいつ頃帰ってくるのかなぁ。」
つい愛称で呼んでしまいサフィーナとモリアンは目を見開く、王妃殿下を愛称で呼ぶのは国王陛下と王妃のご両親くらいなものだからだ。
「そんなに時間は掛からないと思いますよ、連絡を入れるだけだと思われますので。」
エリーナは淡々と答える、行先を知っているような感じだった。
「んー魔法の練習でもしてようかなぁ、アイテムボックスの検証もしてないんだよねーアレからバタバタしちゃったし。」
そう言いながら目の前にアイテムボックスを開く、一度開いたからかスムーズに窓が開く。
「サフィー、そのティースプーン2~3本貸してもらえる?」
「はい、どうぞ。」
「ありがとう・・・・『鑑定』」
鑑定を掛けそのままティースプーンを1本、2本、3本と入れる、そして窓が閉じた。
「うん?窓開けるのにMP使うんだね、数は関係ない・・・あれ?MP4減ってる、消費MPが減った?」
「一度使った魔法で魔力操作が上手に出来たのではないですか?」
「何?魔力操作って。」
「体内の魔力循環させて効率よく魔力を使う方法ですよ、ローレル様に習いませんでしたか?」
「聞いてない!」
サフィーナはローレルが教えている物だと思っていたが、習っていなかった。
「魔法を使う時の基本中の基本なので・・・知っていると思ったのでしょうか?」
「ローレル様は天才だから多分知ってるか使えると思い込んでるんじゃないですか?教えるのヘタですもんあの方。」
基本だと言うサフィーナと結構辛辣な言い方をするモリアン。
「で、魔力操作とか循環ってどうやってするの?」
「それは私たちよりもマルグリット王妃にお聞きする方が宜しいかと思われますよ?」
エリーナがそう答える。
「へぇー、流石魔導士団長の先生、んじゃ無駄にMP使わず大人しく待ってましょう。」
そう言って入れてもらったお茶を飲む。
「うまぁ・・・はぁ、あーーーーーーー王女様になったの思い出してしまったぁぁぁ・・・。」
侍女3人は千春を見ながらクスクスと笑う、そして侍女3人と王族になったらあーだこーだと説明を聞きながらマルグリット王妃を待つ。
ガチャ
「待たせたわね、あら、楽しそうね私にもお茶を入れてもらえるかしら?」
そう言いながらテーブルを挟み千春の前に座る。
「さて、魔法の特訓だったわね。」
「練習です。」
ニッコリと微笑むマルグリットと眉間に皺を寄せながら笑って答える千春。
「フフッ冗談よ、アリンハンドはどれくらいチハルに魔法を教えているの?」
「私が持っている属性魔法の確認と発動出来るか、あと無属性魔法ですね、ローレルさんが知らない無属性魔法が使えてしまってそれの検証とかちょっとやってました。」
「へぇ、どんな魔法なの?」
「空間魔法だと思うんですけれど、あっちの世界の異世界召喚とか転生する人物はもれなく持ってるチートスキルです。」
「なにそれ聞いたことないわ、検証って言う事はチハルは使えるの?」
「はい、私は解りやすくアイテムボックスって言ってます、さっき入れたティースプーンを出しますね。」
そう言いながら両手を前に出しその手の平の上に窓を出す。
「ん?あ、何が入ってるか分かるようになってる!まぁいいや出しますね。」
そう言って(出てこいー)と念じるとティースプーンが3本窓から落ちてきた。
「凄いわね、チハルが使える属性は聖と水と風だったわね、そう考えると無属性なんでしょうね。」
「はい、取りあえずこの魔法が上手く使えると便利だなーと。」
「どれくらいの量が入るのかしら?」
「まだ調べてないので分からないんですが、今開けた感覚だとそんなには入らないっぽいです、あと前回は気付かなったんですけど何が入ってるか分かるようになってました。」
「チハルの魔力はどれくらいなの?」
「・・・・・『鑑定』、最大が・・・増えてますね50です、残りが39です。」
「あら、思ったより少ないわね。」
「でもココに来た時よりも増えましたよ、最初43だったんで。」
「あら、2~3日でそんなに増えたのね、今まで使ってなかった状態だから赤ちゃんと一緒で使えば使う程増えるわよ、まぁ限度は有るけど。」
マルグリットは微笑みながらお茶をすする。
「それに魔力循環させてたら消費魔力も減るし回復もし易いわ、チハルはまだ基礎も生まれたてみたいな物だからそれだけでも上限は上がるんじゃないかしら?」
「それがまだ魔力循環とか魔力操作教えてもらってないんです・・・・」
「・・・・・アリンハンドからは?」
「・・・・・教えてもらってません。」
「あのバカ、何してるのかしら、基本も教えず何考えてるのかしらね、あの子にはしっかりあとで指導しておきます。」
「お手柔らかにお願いします。」
マルグリットからちょっと黒いオーラが見えた気がした千春は穏便に済めばいいなーと思った。
「それじゃ基本から行きましょうか、魔力循環と魔力操作ね、基本は同じ、循環は体内、操作は体から出た魔力と思ってちょうだい、循環に関しては魔力を感じれるなら半分出来てるような物よ、その魔力を感じながら手の平、指先、足の先と流れる様に感じていくだけ、でもコレが出来ないと効率良く魔法は発動出来ないわ。」
そう言いながらマルグリットは両手を軽く広げ前に出した状態で水を出した。
「今魔法で出した水を操作して形を変えたり動かす、これが魔力操作ね魔法力も上がるわよ、操作が出来て無いとそのまま流れ落ちるわ。」
そう言いながら手元の水で花を模りそのまま小鳥の形に変える。
「うわぁぁ!綺麗です!」
「フフッそして水の上級魔法になると・・・」
マルグリットの手の平に止まった水の小鳥が凍り付いた。
「氷の魔法が発動出来るようになるわ。」
そう言い凍った氷をテーブルの上に置いた。
「ではチハルちょっと練習してみましょうか、水よりも風の方がやり易いわ、風を動かしてみましょう。」
テーブルの花瓶にある花びらを1枚取りテーブルの上に置いた。
「チハルはこの花びらを軽く浮かせてクルクル回してみて?」
「はい!」
下からすくい上げるようなイメージと浮き上がったら時計回りに渦を巻くようなイメージで魔法をかける。
花びらが少し浮きゆっくりだがクルクルと回る。
「上手だわ、最初だから精々浮かせるくらいかと思ったのに、才能有るわね、最初は簡単な魔法で長く魔力を消費しない様に練習してみて、魔力が切れて辛くなるようだったら残った魔力で体の中を循環させて練習、コレが基本ね。」
「はい!頑張ります!」
上手に魔法が発動出来、褒められて嬉しい千春は魔力操作をしながら元気よく返事をした。
「ところでメグ様?」
「なに?」
「入ってこられて普通に魔法の練習始まりましたけど、養女の説明とか話は何も無いんですか?」
「無いわよ?さっき話ししたじゃない。」
「詳しくはメグ様にって王様も言ってましたし、それに急に娘にって言われてもビックリするじゃないですか。」
「急じゃ無いわよ?昨日言ったわよね?娘にならない?って。」
「・・・はい、言いました、急じゃ無かったです、でも冗談かと思うじゃないですか。」
「そんな冗談は言いません、それにメグ様じゃなくお母様じゃないのかしら?」
マルグリットはクスクス笑いながら千春に問いかける。
「まだ手続き終わってないじゃないですか!いきなりは無理です!」
「でも寝言で言ってくれてたじゃない。」
「わあああ!!!!!」
夢の事を思い出し顔を真っ赤にして叫ぶ千春。
「ほら、魔法が止まって花びら落ちちゃったわよ、はい!特訓よ!」
「練習ですよぉぉぉぉ・・・・」
そしてMPが尽きるギリギリまで特訓と言う訓練は続くのであった。