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あや
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第一章 白い約束 後編
――エリアス視点――
リュカと別れたあとも
俺の気持ちはどこか浮ついていた
来月になれば約束していた街に出掛けられる
子どもの頃から何度も歩いた道なのに
隣にリュカがいるだけで特別な時間になる
そんなことを考えている自分に笑ってしまう
昔は、ただ守りたい存在だった
泣けば慰めて、笑えば安心して
それだけで十分だったはずなのに
いつからだろう
彼の笑顔を誰にも向けてほしくないと思うようになったのは
そんな気持ちを抱いてはいけない
何度も自分に言い聞かせてきた
リュカはヴァレンティア王国の第一王子
俺は、その命を守る騎士になる人間だ
隣に立つ資格なんてない
それでも、心は思うようにならなかった
「エリアス」
訓練場に戻る途中
同期の騎士見習いに声を掛けられる
「今日は機嫌が良さそうだな」
エリアス「そう見えるか?」
「分かりやすいくらいにな」
肩を軽く叩かれ、照れ隠しに笑う
エリアス「来月リュカと街へ行く約束をした」
「なるほど」
同期は納得したように頷く
「お前、本当にリュカ様のことになると顔つきが変わるよな」
エリアス「そんなに分かりやすいか?」
「本人だけ気付いてないんじゃないか?」
冗談めかして笑われた
俺も笑い返したものの
胸の奥は落ち着かなかった
もし、本当に気付かれているなら
リュカにも伝わってしまっているだろうか
いや、きっと大丈夫だ
俺は一度も口にしたことはない
これから先も伝えるつもりはない
この想いは俺だけが知っていればいい
それがリュカを守ることにも繋がる
そう信じていた
訓練を終え、剣を片付けていると城内がいつになく慌ただしいことに気付く
侍女たちが忙しそうに行き交い
家臣たちも何かを話し合っている
エリアス「何かあったのか?」
近くにいた騎士に尋ねると
驚いたように目を見開かれた
「知らないのか?」
エリアス「何を?」
「さっき正式に発表された」
嫌な予感が胸をよぎる
騎士は少し声を落として言った
「リュカ様が、ローゼンフェルト王国の第一王子と婚約されるそうだ」
耳を疑った
エリアス「…婚約?」
聞き間違いであってほしい
そう願った
「両国にとって大切な縁談らしい」
「もう決まったことなんだと」
その先の言葉はほとんど頭に入ってこなかった
リュカが婚約する
その意味だけが何度も胸の中で繰り返される
約束したばかりだった
来月、一緒に街に行こうって
笑い合ってまたあとでと手を振って
それなのに
「エリアス?」
心配そうに呼ばれる声で我に返る。
気付けば、握っていた木剣が震えていた
「大丈夫か?」
エリアス「ああ…」
口ではそう答えたものの
自分でも驚くほど声がかすれていた
息苦しい
胸が締めつけられる
こんな痛みを知ったのは初めてだった
ようやく気付く
俺はずっと自分をごまかしていただけなんだ
守りたい
その気持ちだけじゃなかった
リュカを、誰よりも愛していた
けれどその想いに気付いた日は
もう、遅かった
・
コメント
1件
うわあああエリアス…!!!😭💔 「守る」だけじゃなかったんだね、その奥にずっと隠してた『愛してる』が、結婚の知らせでバーンって暴かれた感じが切なすぎる…。来月一緒に街行く約束したばかりなのに、もう遅かったって…は?辛い…。でもこの一途で不器用な騎士、めっちゃ推せるよ…!次の話が待ちきれない、どうなっちゃうの?!🌸