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髪の逆立った少年が、クマの目立つ目元を擦りながら薄明るい外を見る。なかなか寝付けなかったのはこの蒸し暑さと蝉の声のせいだ、と自分に言い聞かせながら。整頓されている部屋とは対照的に物で溢れかえった机の上には、殴り書きされた日記帳が乱暴に放り投げられている。

憂鬱な気持ちと重い足を引きずりながらハンガーにかけられた制服を手に取った少年は、ふと一枚の写真に目をやった。薄暗い部屋の中、眩しいくらいの満面の笑みを浮かべる3人に目眩がし、思わず目をそらす。

「ゴンくんー!ご飯出来たよ~」

1階から漂う食欲をそそる様な香りと共に、〝おばさん〟の呼びかける声が聞こえた。ゴンは着替える手を早めながら応えると、そそくさと階段を降りて行った。




大好きな君と、想い出を紡ごう

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