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コツ…コツ…
国際会議室から続く廊下に足音が響く。
「はぁ…面倒臭いなぁ」
そうやってぼやくのは中国。目元には軽く隈を作っている。大分疲れを抱いているようだ。
「格差やらなんやら…こっちだって色々大変だってのに…」
はぁ、とまた溜め息を溢す。
「周辺諸国との関係も…」
独り言を呟いていると、窓から沈み始めた日の光が差し込んで来た。
中国は眩しそうに太陽を睨む。
「…日本、とだって」
日本。昔、朝鮮半島などの他の国々よりも中国を慕っていた、元教え子。
そして、中国へ攻めて来て、今や敵陣営のアメリカを慕う西側の国家。
「…」
中国は、すぐ隣で日本の全てを見てきた。
日本が大陸へ漢字や文化を学びに来た事。
内乱していた事。
鎖国していた事。
攻めてきた事…
日本がかつて倭国だったころ、中国に教えをこうてきたのだって昨日の様に思い出せる。
「…覚えているかな…」
太陽を見る目を少し、細める。
すると奥の方から控えめな足音が中国の元へ届いた。
「…あ…」
中国はそちらを見る。
「…」
そこには日本がいた。
GHQ統治下の日本からどうやら代替わりした様で、前より華奢で童顔な日本になっていた。
「久しぶりだな。日本」
「そ、そうですね…久しぶりです」
そう今の日本はぎこちなく答える。
あまりにもたどたどしいのでもしかしたら記憶が継承されていないのではと不安になる。
日本はちらりと腕時計を確認した。それにつられて中国も自分の腕時計を見る。
「…会議が終わるまで時間があるな」
「そうですね…」
日本は中国へ目線だけ向けた。
「…少し、話します?」
「…嗚呼」
日本が話しかけてきたことに中国は驚きに目を開けつつ、それを快諾する。
「あー…どう?最近」
「…ぼちぼちですね、私は。…そちらは?」
「問題が山積みで、疲れるよ」
本日何度めかの溜め息をついて、目を伏せ答える。
するとふふっ、と日本が笑い声を漏らした。
「昔と、変わらず、ですね」
その様子に、軽く驚愕する。
「お前に言われるとは」
くすくす、と笑う様子に倭の日本と重ねる。
「…それ…」
「…え?」
「資料、お前の字だよな」
指差して、日本の意識を日本の持つ資料へ向けさせる。
「あぁ…私が書いたんです。…こういう、作業、昔教えてくれましたよね」
その言葉に中国は日本の顔を目を見開いて見つめた。
「覚えていたのか」
ええ、資料の文字を指で撫でながら呟く。
「忘れる訳が無いじゃないですか」
うすく笑みを日本は浮かべる。
「…変わったな」
「そ、そうですかね」
「昔は─」
言いかけて、中国は言葉を飲み込んだ。
「…?」
「いや、何でも無い」
中国は気まずくなって思わず視線を逸らした。
「…また、話せるかな」
表情に影を落としてぼそりと日本が溢した。
「あぁ…」
視線を逸らしたまま、反射で答える。
そして脳内で先程の日本の呟きを反芻し、含みに気付く。
そう、そうなのだ。
また、話せる機会なんて─
「…あぁ」
不自然な間の後に同じ言葉を復唱した。
それを聞き、中国に気付かれ無い様に日本は下唇を少し内側へ引き込めた。
「…ねぇ」
「何だ」
「その…前、みたいに、さ…また」
ばっ、と顔を上げ、中国の目を真正面から見る。
夕方の日が赤みを帯びる。
その光が窓を通し、中国と日本を照らす。
互いに同じ朱に染まる。
暖かみのある、山吹色が二人を繋ぐ。
「仲良く、できませんか」
夕暮れ色の日本が真剣な目で、乞うように言った。
中国の携えた頭上の星々と左目の星が光を発す。
日本の言葉に心踊る。
純粋たる笑みを浮かべ、快諾しようと唇を滑らせて─
「おい、日本」
「何をしているんだ?中国」
アプリコットの日差しは闇夜に喰われ、抵抗する素振りすら見せずに消えた。
照明は宵が訪れた事に気付かずに役割を果たさない。
中国の星も急速に光を失った。
「…たく、このランプ、お前ントコのだろ?不良品なんじゃないか」
現れたうちの一人が舌打ちを放ちながらもう一人に対していちゃもんを付ける。
「はぁ…?そっちは百個作っても全部が役立たずだろ。お前の様に。居るだけで邪魔な世界のゴミ」
中国と日本に割って入ってきたのはロシアとアメリカ。
世界を牛耳るニ強。
そして西側、東側と二つに世を隔てた原因の社会主義と資本主義の象徴。
闇に紛れて二人の表情は良く見えない。
「何がだ。お前はそこの震えて怯えている小国が居なければ俺たちを押さえ込めない。…まったく、敗戦国を身内に入れて何が良いのやら。こちらは戦勝国しか居ないぞ」
はぁ、分かっていないな、と言いアメリカは日本の肩を掴む。
青ざめている日本は言葉を発さ無い。
「こいつは技術を持っている。頭一つ飛び抜けて。俺が仲間にするのに相応しい、技術を」
日本は俯いて、愛想笑いを浮かべた。
「はは…」
「…っ!!」
手を日本へ伸ばす。
「にほ…」
「触るな」
その手はアメリカにはねのけられた。
「日本を誑かすなよ」
冷たい言葉に触れ、中国は身震いする。
「そっちが俺の中国を誑かしていたんだろ」
それに応戦するように冷ややかな目で日本を見つめながらロシアは言った。
「こんな純粋cutyなJapanがそんなことするとでも?」
「するだろ。国なんだから」
「お前みたいな社会主義何ぞ言う低俗で頭に花でも咲いた思想を選ばなかった賢さは確かにあるかもな!!ほら、そこのクソコミーの様に高慢じゃなく、耳障りな大声も出さない。ホームレスすら清潔で、川もclean」
卑下された中国は青筋が浮かぶのを感じた。
「なぁ、日本。お前もそう思うよな?まさか、あのクソコミー野郎と話してて心落ち着いただとか、楽しい何て、感じてないもんな?あんな奴と会う必要性、無いよな」
突如として話を振られ、日本の視線はあらゆる所へ揺れる。
そして、ピタリと中国と目があった。
その目を、中国は外さずじっと見つめる。
日本の視線は中国とアメリカを行き来する。
「日本」
呼び止められ、目をアメリカへ固定してした。
心にざわめきを覚える中国。
「分かっているよな」
ランプが、やっとのことで光を宿し。アメリカを照らした。
そのアメリカは微笑んでいて─
「どちら側か」
日本の瞳は黒く染まった。
「…アメリカさんの、…言う通りです」
すると日本はアメリカの背後に隠れる。
それを見た中国は、己の星々を照明と同じ様に鈍く、機械的に光らせた。
「…そうか」
一呼吸おいて、ロシアの視線を感じつつ、
「変わらないな」
そう、言い捨てた。
隠れている日本がびくりと肩を震わせる。
「自分の意思も言えない。誰かに従うことでしか己の価値を示せない。本当、何も変わっていない」
ロシアがふふんと満足げにアメリカを見る。
それにアメリカがまた反論を始める。
口論が中国が入ったことニよりヒートアップしていっている所に─
「ちょっと!!貴方達!!何喧嘩しているですか!!」
かんかんに怒った国連が来てロシアとアメリカを引きずって行った。
「ほら、二人も来てください。…日本、貴方も止めてくださいよ…」
「ごっごめんなさい…」
「…」
………
……
…
夜は更け深夜。
テラスにて星空を眺める国が一人。
「はぁ…」
疲れた顔をしてその国─日本は自身の手を見る。
その手は小刻みに震えていた。
「…なんで」
腕をテラスの柵にかけなから項垂れる。
「…分かってたこと…あれが正解」
後悔からか、目を瞑る。
すると脳裏に浮かぶ中国との仲が良かった頃の日々の数々。
漢字、文化、稲作、建築…日本を形作る数々。
今の日本が教わった訳ではないが、その時の感情も、知識も、全てを継承されている。
『覚えていたのか』
「忘れられる訳、無いじゃん」
廊下が騒がしくなる。イタリアとドイツ、フランスとイギリス…などなどの互いが仲の良い者と会談しながら帰宅しているようだ。
日本も廊下へ戻り、中国と会った方をみて─
「…ごめん」
届かぬ言葉を呟いて、歩き出す。
反対方向の廊下を
初投稿です!!長い文章お疲れさまでした!!カシーチ帝国と申すものです。どうでしたかね。よろしければ感想を書いてくださると、次に生かせるので欲しいです!!リクエストもokですよ。地雷は全然ありませんから。ではまた、いつか