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試験1日目が終わった放課後。
教室には、「やばいかもー!」とか「赤点は回避かな~、」とか、全力で疲れてる声が飛び交ってた。
の「ねぇ、今日このあとさ、どっか行かない?ちょっとだけ現実逃避〜」
う「賛成〜。甘いもの食べたい〜!」
じゃ「ちょ、試験期間中に寄り道とか言っていいの!?」
ひ「でも、今日だけはアリじゃない?」
ゆ「帰っても、勉強なんか手につかないしな…」
え「みんな、気持ち切り替え早っ!」
でも、そういう空気ってちょっと好きだった。
の「えとさんも、でしょ?」
え「ちょっとくらいなら……」
⸻
こうして、私たちは駅前のパンケーキ屋さんに向かった。
制服のまま、6人でぞろぞろ歩く帰り道。
私たちの声と笑いが、夕方の街ににぎやかに溶けていく。
じゃ「てか、最後の問題の答え、絶対“C”じゃん!」
う「いやいや、あれは“D”でしょ〜!みんな何マークした?」
ひ「…俺もD。えとさんは?」
え「……D」
じゃ「うわ、まじかよーー!!俺だけか!!!」
の「じゃぱさん、まさかの仲間ゼロ〜」
え「今のところ赤点確定だね…」
じゃ「やめろ、現実突きつけるな……!」
そんなやりとりの中で、ふとゆあんくんが歩幅を合わせてきた。
ゆ「えとさん、疲れてない?」
え「え?大丈夫だよ、まだ元気」
ゆ「ならよかった。…さっきから、ちょっと静かだったから」
え「あ、そっか…ごめん、ぼーっとしてたかも」
ゆ「疲れてんなら、パンケーキ半分あげるよ」
え「え、いいの!?って、まだ食べてもないけど!?」
ゆ「ふふ。未来の話」
え「うわ、なんかズルいその言い方…」
⸻
お店に着いて、注文したパンケーキが運ばれてくると、
テーブルの上が一気に幸せな空気に包まれた。
う「最高すぎるな、これこれ!こういうのが必要なんだよ!」
の「糖分最高〜!おかわりしたい〜 」
ひ「この味、すごくえとさんっぽい」
え「え、どういう意味!?」
ひ「やさしいけど、ちょっと甘すぎて焦る感じ」
え「えぇ…うれしいのか照れるのか分かんないよそれ…」
じゃ「うおっ!?なんだこのナイフ!?切れ味悪っ!?」
の「え、そこ!?テンション下がるとこそこ!?」
じゃ「いや、でもえとさんのナイフはスッて入ってたんだけど!?」
え「これ力の差じゃない!?筋トレしよじゃっぴ!」
じゃ「うるせぇ!えとさんが1番筋肉語れないだろ!!」
みんながしゃべって、笑って、つつき合って_
⸻
帰り道。
駅までの歩道を、のあさんとうりが前を歩きながら、じゃっぴとひろくんが後ろを並ぶ。
私はゆあんくんと並んで、真ん中あたりを歩いていた。
ひ「こういう日、なんか大事にしたいよね」
じゃ「次は試験終わったらまたどっか行こうぜ。水族館とか!」
う「それ〜!おっきいクラゲ見たいやつ〜!」
の「……でもさ、なんか思わない?最近、6人でいるのが“普通”になってきたっていうか」
え「うん…でも、だからこそ、全部がちょっと特別に感じるよね」
ゆ「……俺も、今のこの感じ、すごく好き」
え「ゆあんくん…」
そのとき、ふと後ろから風が吹いて、ひろが私の肩にそっと手を添えた。
ひ「えとさん、寒くない?カーディガン、いる?」
え「え、ありがとう..!でもひろくん寒くなっちゃうよ」
ひ「俺は大丈夫だよ、えとさんの為だし」
少しだけ風の音が大きくなった気がした。
なぜか、うりが後ろから「はいはい!さりげなく王子ムーブしてんじゃないよ〜!」と突っ込んできた。
う「もう〜えと んばっかりずるい〜」
じゃ「ほんと、モテモテすぎて俺ちょっとこまるわー」
え「なにそれ!!笑」
の「まぁでも、それだけえとさんが、みんなの真ん中ってことだよね」
そんな言葉に、少し照れて、でもちょっとうれしくて。
あの日の帰り道は、まっすぐじゃなかったけど、それがよかった。
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