「………何故こんなことになってしまったのでしょうか……」
羞恥心ありありの心で菊はそう呟いた。
「ん……………ん?」
菊が目を覚ますと、見覚えのある車内の後部座席で、いつの間にか右手首がヘッドレストの元に手錠で繋がれている。
菊はこの車の持ち主に声をかけた。
「あの……アルフレッドさん、これはどういう状況でしょう…?」
「お、目が覚めたかい?心配は無用さ!ただちょっと暴れていたもんだから繋いだだけだぞ!」
繋いだ〝だけ〟とは……と思うのと同時に、私は意識が無い時に一体何をしていたのでしょうか…と恐怖を覚えた。
「さ!着いたぞ!」
無事に手錠を外してもらい、アルフレッドの家に上がる。
アルフレッドに合うような豪華な大広間にいつもの面々が揃っていた。
「「「「「「「……」」」」」」」
少しの間沈黙が流れる。
耐えきれず、菊が口を開いた。
「あの、お聞きしたい事が山ほどあるのですが……まず、、……………う、……あ、…っ、」
話している最中に、徐々にもぞもぞ、と少し声をあげながら体をよじりだした。いつの間にか周りがいつも以上に真剣な眼差しで菊を見ていた。
「…ん…っ……………?」
ピタ、と体をよじるのが止まり、今のは一体……?と頭にはてなを浮かべる菊をよそに、周りがざわざわしだした。ニヤニヤしている者もいる。
流石におかしいと思った菊はその場の者に尋ねる。
「あの…何か変でしょうか…?」
「何も変じゃないよ〜!めっちゃかわいいし、似合ってる〜!!」
「フェシリアーノくん、それはどういう…………?ひ、っ……!////」
何かと思えばイヴァンが興味津々な表情で尻尾をつついていた。
ん……?尻尾……?
「ち、ちちちょっとお手洗いの方へ行ってまいりますね…」
駆け足で広い廊下を移動し、トイレへ駆け込む。これまた豪華で壮大な1枚鏡を覗く。
「な……何ですかこれは……!?!?!?」
自身の髪と同じ漆黒色の毛並に包まれた猫耳と尻尾が会議の際の平装とは不釣り合いに生えていた。
気配を感じて入口を一瞥すると大広間にいた面子がひょっこり顔を出していた。全員似た表情だ。
「…どういうことか説明していただけますか……?」
少し赤面で説明を要求する菊に、フランシスが答えた。
つまりはこういうことらしい。
会議前に菊以外の者たちが集まり、また他の、秘密の会議?をしていた。
会議後、菊はいきなり、ルートヴィッヒに「すまん…」と言いながら首筋に注射器を刺し、中の液体を入れた。
そしてアーサー(監視で王耀)がアルフレッドの車に乗せ、手錠を掛けた。
そして道中で菊が目を覚まし、今に至る。
「一部よく、っ、ま、まだ分からないで、っ、すが、、んっ、、…そういうこ、あっ、……でし、…っ、たか、、、…………………アーサーさん!!話している最中に耳に息を吹きかけられたら困ります!!!」
「あはは……すまなかったな……」
言葉とは裏腹にニヤニヤしすぎである。100%反省していない表情だ。
ふと気になった菊が
「ちなみにこれの効果は切れますよね……?」
と聞いた。
すると、
「もちろんさ!ただ…残念ながら再現に極振りしすぎて1日しかもたないんだ……」
とアルフレッドが答える。
「十分ですよ!!もう懲りごりです……ひゃ、みなさん、い、いじらないでください……///」
一同滅多にない意見が一致する瞬間となった。
コメント
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(ΦωΦ)腐腐腐…