翌日、菊の猫耳と尻尾は見事にキレイさっぱり無くなり、元の日常に戻ることができた───
「こほ、こほっ、…」
ことはなく、無理な異変に心身ともに疲れてしまったのか、菊は風邪を引いてしまった。
ということで、今は菊の家に看病するという目的で来客がたくさん来ている。
「菊くん、大丈夫ー?」
「漢方飲むあるか?」
「こういうときは気合さ!いけるぞー!」
「菊、スコーン焼こうか…?」
「逆に悪化するだろうよ」
「ねぇ菊!パスタは口に苦しだしー、作るよ!」
「パスタではなく良薬だ…」
菊は布団に囲むように並んで座っている面々を感じ、私は乙女ゲームでもしているのでしょうか…と思った。
「みなさん、こほ、うつってしまいますので、今日はもう、こほっこほっ、お帰りになられても良いのですよ…?」
「お兄さんはこんな状態の菊をほっぽるような性格じゃないからー…」
「みんな心配なんだよー?」
「で、ですが…」
「俺にも責任があるからね!ヒーローは逃げ出したりしないんだぞ!」
「今の菊もかわいいぞ♡」
「黙れある」
「……では、お言葉に甘えさせていただきますね」
「今しれっとコイツの言葉無視したあるね???」
そんなこんなで菊は身を任せることにしたのだが、何よりこの7人だ。何が起こるか菊にはさっぱり分からない。
そのうち、12時を知らせる振り子時計の音が低く響き渡る。
「こほ、もうお昼時なのですね、ご飯を作らなくては……」
と言って立ち上がろうとする。すると、一歩踏み出したところで崩れ落ちてしまった。
「Wait!!ダメだろー!」
「動くんじゃないよろし!!」
「お兄さんに任せてゆっくりしててよ菊ー!」
などの声が菊の上に飛び交った。
「菊ー、『お言葉に甘える』って言ってたじゃんか〜」
とフェシリアーノが言う。
「あ、そ、そうでしたね…すみません、ではお願いしてもよろしいでしょうか…?」
と咳込みながら言った。
「もちろん!まかせてよ〜!」
「腕がなるよー!」
フェシリアーノとフランシスが立ち上がる。
「俺も作るぞー!」
「手伝うよ」
と言い、あの2人が立ち上がろうとするが、
「やめとけ」
「やめといたほうがいいんじゃないかなー?」
「ダメに決まってるあるよ!!!」
と、ルートヴィッヒイヴァンと王耀が制止した。
普通に会話をしていたはずなのに、気がついた時には言い争いが始まっているのが日常だ。
そしてこの日もそうなった。
「何言ってるあるか!米が1番あるよ!!」
「えー?じゃがいもでしょー?」
「…全くもって今回だけは同感だ」
「…パンだろう」
「HAHA!ルートヴィッヒの言う通りパン以外ないんだぞー!!」
今回は主食で言い争いが起きている。
「もういいあるよ!!!我はあいつらを手伝ってくるある!!」
「僕も行こうかなー」
「俺は見に行くんだぞ!」
「じゃあ俺も」
と言いながら王耀とイヴァン、アルフレッド、アーサーが部屋を出ていき、部屋には菊、そしてルートヴィッヒ2人となった。
「…あんなにうるさかったはずだが、寝ているな…よほどつらいんだろうか…」
と独り言を言う。もちろんいつものように優しい言葉が返ってこない。
「……すまないことをしてしまったな…」
罪悪感で胸がいっぱいの状態で、ルートヴィッヒは呟いた。
すると、菊の口から何か聞こえてきた。
「………体、が…きもち…わるい、です…」
「……寝言、か?」
その後の言葉があるのかと思い、ルートヴッィヒは耳を傾け続けていたが、次の言葉は出てこなかった。
「……本当なのか分からないが、着替えさせるか…」
せめてもの罪滅ぼしで、とぼさいて着替えを探し、持ってきた。
菊の服を脱がせる。
「……何か…変な感じだな…」
ルートヴィッヒにとっての罪滅ぼしのはずだったが、ご褒美な気がしてならなかった。
やがて透けるような白い肌が露わになる。
「……」
ルートヴィヒは少し頬を赤らめた。そのとき、
「ん…………ん、ん?」
菊の目が覚めてしまった。
「ルートヴィッヒさん…あれ、みなさんは………」
と言って周りを見渡す。
「あぁ、飯を作りに行ったぞ」
すると、自分の普段は見えないところが目に入る。
「なっ…………!?!?
どっ、どういうことなのか説明していただけますか!?!?!?」
「あ、い、いや、違うんだ、、、!!!!!これはだな───」
「な、何が違うんですか!!は、は、は、ははは破廉恥っっっ!!!!」
するとその声を聞きつけた台所にいた者たちが続々と部屋に駆けつけてくる。
大きく扉が開き、この光景だ。
誤解に誤解を招き、睨むような目がルートヴィッヒに突き刺さる。調理の途中だった王耀に握られていたものの切っ先がルートヴィッヒに向く。
「違うんだ!!!話を聞いてくれ!!!!」
誰も菊が破廉恥扱いのルートヴィッヒを助ける者はいなかった。
コメント
1件
ルートさんいいなぁ…私も菊さんの…腐腐腐…