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プルプルプル……プルプルプル……
ガチャ
「ロロノアに変われ」
天気は快晴。新世界にしては安定した気候の中、サニー号は航海士のナミによって今日も迷うことなく次の島へ漂着しようとしている。これから向かう島は何かと栄えた島で、食べ物やかわいい服、武器、楽器、部品、雑貨など数えたらきりのないほどの多くのジャンルのものが充実している噂を聞き、みんな楽しみにしている。ルフィなんか、もうよだれを垂らして島はまだかと待ちわびている。
そんな中、サニー号にあるでんでん虫が鳴った。普段あまりかかってくることはないから、もしかしたら海軍かも、と少し警戒して受話器を取る。案の定、怪しい電話だと思った。受話器をとっても何も喋らず、ただ無言の時間が過ぎていく。仕方なく、ナミから話を振ってやることにした。
「誰よ、ずっと黙っていないで、何か喋ったらどうなの?」
「ロロノアに変われ」
……はあ??? なんでゾロに変わらないといけないのよ。ナミは思ったが、これ以上自分が話しても無駄だろうと仕方なくゾロを呼ぶ。ゾロはまるで相手が誰だかわかったように、少し驚いた顔をすると、ナミから受話器を受け取った。
「変わった、なんかあったのか?」
「新聞の記事を読んだ。俺は今ロロノアたちが向かっている島にいる。ここは自然が多いし、俺の拠点もある。成長を見てやる、ロロノア。」
「手合わせってわけか。それはそうと、ちゃんと真剣で相手してくれるんだろうな?」
「安心しろ。本気でやってやる。」
「ならいい…でも、お前から誘ってくるだなんて珍しいな。前は俺が誘っても全然相手してくれなかったくせに」
「別に理由などない。ロロノアがここに来るついでにどれだけ成長したか確認をしてやろうと思っただけだ 」
「んなこと言って、ただ寂しいだけだろ。俺とペローナがいなくなって。」
「む、俺は寂しいのか」
「ああ、そうだ。お前孤独が好きそうなフリして、意外と人と絡むの好きだろ」
「そんなことはない。お前たちだけだ。」
「へえ。随分素直じゃねえか」
「俺は元から素直だ。話を戻すが、島にはいつ頃着く?」
「んー。わかんねえ。おいナミ、次の島いつ着くんだ?」
「へっ、ああ…明日の午前8時頃予定よ」
話を振られるとは思っていなかったから、少し返事に戸惑ってしまった。
「だそうだ」
「わかった。8時頃、迎えに行く。絶対に船から出ていくな。わかったな。」
「へいへい、じゃあな」
ゾロは電話を切ると、ナミの方を見た。
「次の島で予定ができちまった。俺は船番は出来ねえ。 」
「それは構わないんだけど…さっきの誰よ」
会話を聞く限り、かなり親しい仲のようだ。でも、怪しいには極まりない。
ゾロは少し困ったように、眉を顰めていたが、ようやくピンとくる言葉が思いついたのか、口を開いた。
「あーー、俺のお師匠様だ」
「お師匠様ぁ?」
今度はこっちが眉を顰める方だ。ゾロに師匠?ゾロが人に教えられたことを素直にやるとは思えない。
「なんだよその顔」
思わず全て顔に出ていたようだ。
「あんたに師匠?って思って」
「お前らと離れてた頃の2年間、修行つけてもらったんだよ」
なるほど。私もウェザリアではおじいちゃんに天候について教えて貰っていた。だから、ゾロが教えて貰っていることも不思議では無いはずだ。でも、やっぱり信じられない。ゾロは強い。そうそう敵う相手がいるようには思えないのだ。
ゾロのお師匠様とやらが誰か気になるので、明日その男の面を拝んでやろうと思う。
午前8時17分。ようやく島に到着した。辺りを見渡すと、テーマパークのような建物や大型ショッピングモールなどがたくさん見える。ナミはその光景に目を輝かせていた。今すぐにでも飛び出したくなる気持ちを抑えて、船長率いる船員たちに注意を唆すと、椅子に腰掛けた。パラソルで強すぎる日差しは防いでいるので、熱中症になることはないだろう。
「あら、ナミ。あなたは街を見に行かないの?」
ロビンが不思議そうに問いかける。それはそうだろう。この中でもルフィ、チョッパーに次いで楽しみにしていたのだから、すぐに降りて街を見に行くと思ったのだろう。
ナミはにんまりと笑みを浮かべながら
「ゾロのお師匠様とやらを一目拝んでやろうと思ったのよ」
といった。
ロビンはあら、と微笑むと向かい側の席に座った。
「私もご一緒していいかしら」
「もちろん。その後は、私と一緒にショッピングにでも行きましょ」
「ふふ、楽しそうね。是非ご一緒したいわ」
ナミとロビンが仲睦まじく話しているのを、金髪の男はにちゃりとした笑顔で見つめていた。ウソップは武器の改装が終わったのかサニー号の中から出てきた。
「なんだお前らまだいたのかよー」
ウソップは少しびっくりしたような顔で言う。ロビンと同じ反応だ。
「俺はナミさんとロビンちゅわんの荷物持ちがしたい!!!!!!!」
その後に食材も見て行きてえしな、とニヤリと笑って言った。コックのサンジくんも、食材が充実しているこの街は結構楽しみにしていたらしい。
「ゾロ、刀見に行くんじゃなかったのか?」
「ああ…それはもうちっと後になりそうだ。」
「なんでだよ。見に行けばいいじゃんか」
「待ち人がいるからな。そいつの迎え待ってるんだ」
「待ち人ぉ?ゾロに?」
「ああ。多分もう少しで……あ」
ナミとウソップは顔を青ざめた。サンジも眉を顰めている。なぜなら、空気が存在感に押しつぶされるような気配を感じたからだ。ただならぬオーラに、空気がサーッと冷えていく。息が詰まりそうだ。
「す、凄い、オーラ…覇気でもないのに……ど、どうしたらいいの!?」
「ヒーーッッッ!!!!ゾロくんんん、オレ様を助けたまええぇぇぇ!!!」
ナミはあからさまに怯え、ウソップはゾロの足にしがみついている。ロビンも警戒して、手を交差させた。
ゾロだけは怯える様子も、警戒する様子もなく、ただただ気配が近づくのを待っている。
気配がピタリととまる。と、突然。船の上に洒落た帽子を被った、黒ひげの男が現れた。
鷹の目のように鋭い眼
あの眼に見つめられただけで、死を悟る。
─────通称、鷹の目のミホーク
何故、王下七武海が、ここに……?
七武海の中でも、相当の強さを誇る鷹の目が、なんでここに……!!!
恐怖で、脚が竦む。
ただ鷹の目の行動を窺うだけしか出来ない。
しかも、アイツ、ゾロを殺そうとしたやつじゃない!
無理無理無理!!怖すぎる………!!!!
敵うわけない……!!!!!!!!!
ようやく、鷹の目の男が口を開いた。
「おい、航海士」
ひいいいいぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!なに!?!?!?わたし!?!?!ナミは混乱と恐怖で心が支配されていた。
「な、なんで、しょうか……」
「何日この島に滞在する?」
「と、十日間……ぴったり、です…………」
「そうか…ロロノア、必要なものをまとめろ。十日間、俺の家に泊まらせる。」
「はいはい……つっても持ってくものそんなねえよ。刀の手入れ用具くらいしか…」
「仲間は」
「泊めてくれんのか?」
「そう言っている。新しい拠点は、シッケアールより広い。きっと、全員泊まれる」
「いや、あれより広くなってどうすんだよ……もう少し金の使い方改めろ」
「俺は金に興味はない」
「お前な…」
いやいやいやいや!!鷹の目に何注意促してんのよ!!!死ぬわよ!!!あんた!!! ナミは心の中でゾロに訴えた。だが、意外にも鷹の目は満更でも無さそうだ。
「ほら、ナミたちも荷物まとめろ」
少し落ち着いてきたナミは、この鷹の目の男の声に聞き覚えがあることに気づいた。何故か考えていると、昨日の記憶が蘇る。
「あーーーっ!!!!」
「っるさ、んだよ」
「思い出したわよゾロ!!この声、昨日の電話の主だわ!!!もしかして、あんたの師匠って……!!」
ナミは確信づいたように言った。
「なんだロロノア、言っていないのか」
ミホークは摩訶不思議とでもいうような顔でゾロを見つめている。おおよそ、言いたいことは検討着く。
「いや、だってよ。この傷を付けた相手が師匠になってたって…おかしいだろ」
ゾロは、腹の傷を指さした。
「それだけではない、目の傷も同様だ。」
ミホークは少しムッとした様子でゾロに返した。
ナミは呆然と2人の会話を眺めていた。どうやら、鷹の目の元で修行していたのは鷹の目の男曰く本当らしい。いや、なんで?というのがナミの率直な意見だった。なぜなら 、ゾロの目指す首は鷹の目で、鷹の目は将来決闘を挑もうとしている若者を自分の手で育てあげたと言っているようなものなのだから。
サンジも煙草が口から落ちてしまっているし、ウソップも顔を青褪めながら、なんで?という顔をしている。ロビンは相変わらず笑っていた。
「それに、仲間が混乱するだろ」
そういう問題ではない。というか、知らせてくれていなかったおかげで、世界最強の剣士にあんな口の利き方をしてしまう羽目になってしまったのだ。この迷子剣士はどのように責任を取ってくれるのだろう。
「随分と仲間想いなのだな」
鷹の目が単に弟子馬鹿なのか、よく意味がわからなくなってきた。
結局あの後、各自好きなことをして周り、最後には鷹の目の自宅に泊めてもらうという形になった。ことの発端はあの迷子剣士だ。あとでとことん追求させてもらおう。
この時のナミは、これ以上の混乱を知ることをまだ知らない。
ーオマケー
「鷹の目の家に泊まるなんて、怖くて絶対眠れない……」
「わかるぞナミ、あんな怖い男がいる家でグーグー鼾かいて寝れるわけねえ」
「アイツ、一体何考えてやがんだ……」
ナミとウソップは怖がって、サンジはあの惨状を見ていたからこそ『こいつ正気か?』って思いそう。
次回は麦わらの一味総出で鷹の目の家に泊まります。
そこで見た光景は如何に──!?
なみさんの苦労はまだまだ続く。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ ♡2000