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#ベリアン・クライアン
ぷち
276
『春の桜に恋焦がれ』
〜その姿に…恋に落ちた〜
第三舞 「夜桜二人」
『じー……。』
旅館の庭で、何やらベリアンは仕事中のようだ。
『何してるんだろ。』
(なんか作ってる…?餅つき?)
ベリアンはロノとバスティンと一緒にお餅をついてるようだ。
『おいバスティンつまみ食いすんなよ!』
『す、すまない。餅がおいしそうで…。』
『ふふ、バスティン君は食いしん坊ですね。』
ドキンっ。
好きになるっていうのは一種の劇薬かもしれない。その人のどんな仕草でさえ…胸が苦しくなるのだから。
『あ、あの…ベリアン…。』
私はベリアンに歩み寄る。
『主様?どうしましたか?』
『えっと……。』
『主様。この餅をこれから桜餅にするんだ。
庭で一緒に食べよう。』
『あ、ありがとう。』
『それで、何か用ですか?』
『あ、あのね…。』
『…バスティン。行くぞ。』
『ん、何故だ?』
グイッ。
俺はバスティンの首根っこを掴んで旅館に戻る。
『いいから!ベリアンさん!先に出来た餅作っときますね!』
『は、はい!ありがとうございます!』
(ロノ、もしかして…。気を遣わせたかな。)
『あのね、ベリアン。今夜…桜陽祭の最終日なんだ。ライトアップされる夜桜が綺麗だってユーハンから聞いたの…一緒に行かない?』
『……。』
私はぎゅうっと着物を握り締める。
『私で宜しければ…喜んで。』
『ほんと…!?』
嬉しさのあまりニコッと微笑む。
『…っ。はい。楽しみにしてますね。』
『うん!』
物陰
『主様、頑張ったっすね!よし、フルーレ俺達で主様を完璧に仕上げるっすよ!』
『はい!』
アモンとフルーレは熱が入り…私も夜の為に気合を入れた。
数時間後――。
『主様。目を開けていいですよ。』
『ん…。嘘、これ私……?』
『メイクは桜っぽい儚い感じで…。気に入ってくれましたか?』
『凄いフルーレ…ありがとう!』
『どういたしまして。』
『俺のやった髪も見てください!』
アモンは鏡を渡してくれる。
『可愛い……。』
『桜の髪飾りっす。主様、頑張って来てくださいっす。』
『フルーレ、アモン…ありがとう!』
私はニコッと微笑んでベリアンに会いにいく。
ベリアンと旅館の入口で待ち合わせをしていた。
『お待たせ致しました。主様。』
『ベリアン…。』
『…?如何されましたか?』
(着物…かっこいいなぁ…。)
『主様?』
『!な、なんでもないよ!行こっか。』
『はい。』
ベリアンはふふっと微笑み隣を歩く。
(言えない、ベリアンがかっこよくて見惚れてたなんて。)
『わぁ…綺麗ですね…。主様、お腹すきませんか?何か食べましょうか。』
『う、うん。』
『主様、あちらにりんご飴が売ってますよ。たしかお好きでしたよね。』
『うん!食べる!』
(ベリアン…髪とメイク気付いてないのかな。
少しくらい…意識して欲しいのに。)
私はベリアンの服の袖を掴む。
クイッ。
『…!主様?』
『……ベリアン。あの…。今日の私……どう、かな……?』
『……。』
ドキン、ドキン……。
『――っ。』
と、口を開こうとしたベリアンを風邪が遮る。
『わっ!』
『主様…!』
よろけてしまいそうになる私の手をベリアンが握る。
『ベリアン…。』
『…こちらへ。』
ベリアンはそのまま私の手を引き、人気のない所へ歩き出した。
『ベリアン…?』
『人気があるところでは…言うのは恥ずかしいので。』
『……っ。』
『きょうの主様…とてもお綺麗です。お化粧も…その髪も。とてもお美しいですよ。』
『っ……!』
求めていた言葉を言ってくれたのに私はそれどころじゃない。嬉しくて、嬉し過ぎて顔が赤くなってしまう。
『っ…///』
『もしかして…私の為、ですか?』
『え…?』
『この夜桜のライトアップを見た男女は生涯を共に出来る…という話を聞いたものですから。』
自惚れてもいいのかな。それはもうほぼ告白だってこと。
『…っ、私……』
『…なんて、調子に乗りすぎてしまいましたね。ふふっ。主様、そろそろ帰りましょうか。風も出てきましたから。』
『……。』
嫌だ。
グイッ。
ベリアンの手を掴んで引き止める。
『帰りたくない…。』
『……っ。』
私は主様の腰を抱き寄せた。
『ベリア――。』
『……。』
唇が触れ合う。既に熱い身体が更に熱を帯びる。既に致死量の熱を貰ったのにこれ以上は毒だ。
でも――貴方から貰えるそれなら喜んで受けたい。
『『……。』』
微かな音を立て、唇は離れた。
お互い何を発することなく、帰路へ。
初めてのキスの味は…さっき食べたりんご飴の味がした。
次回
第四舞「過剰体温」
コメント
1件
ぷちさん、こんばんは。第三舞、とても素敵な回でした…!夜桜の下でベリアンに「今日の私、どうかな」って聞くシーン、もう胸がきゅんとしました。あの控えめな問いかけに、彼が「お綺麗です」って答えてくれる流れ、甘すぎます。最後のキス、りんご飴の味っていう表現がすごく印象的で、読み終わったあとほんわかした気持ちになりました。次回も楽しみにしてますね。