コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私は元々サッカーには興味は示していなかった。
スポーツに関心がなかったからだ。
でもある日、友達から机にドサッと置かれた雑誌とともに話題がふっかけられた。
「私この人めっちゃ好きなの!!」
「ふーん・・誰?」
「え!?知らないの!?天才ミッドフィルダー・糸師冴様!とにかくかっこいいのよ〜〜」
「平和ね〜」
「もう!全く興味ないって顔しないでよ〜!ほら、ちょー格好良くない!?」
雑誌をバシバシ叩きながら興奮気味に語る友の手の下に写っているのは・・
「いとしさえ!!!!!!!!!!」
勢いよく立ち、思い出したのは飛行機の中だった。
何故か隣には携帯を弄っていた張本人が私を見上げ、凝視していた。
その隣にいるマネージャーさんは紙の束から頭を上げ、酷く驚いていた。
「・・すみません・・」
恥ずかしさのあまり赤くなりながら席に戻る。
あれ、てかなんで母さんいないの・・?いつの間にか飛行機乗ってた。。ぼーっとしてたのかな・・。ちょっとぼんやりしすぎた。母さんと別れた記憶、飛行機に乗った記憶も全くない。
「何やってんだ」
呆れたように深いため息をつくいとしさえ。
恥ずかしさをごまかすために自然な流れで窓に視線を移すと日本の景色ではなかった。
「!・・これって・・」
「フランスだな」
「・・エッフェル塔・・?」
映画とかでしか見なかった光景が目の前にそびえ立っている。
「・・で、さっきマネから名前聞いてなかったのかよ」
窓から視線を外し、いとしさえを見る。
「あ〜・・ごめんなさい。上の空で」
申し訳なさそうに俯くと、
「お前、凛は知ってて俺は知らねえのか」
「りん・・りん・・凛・・?」
「凛も知らねえのか?」
「・・ああ、缶バッチの」
また、はあ、と思いため息をついたさえという人。
「んじゃスペイン行っても意味ねえな」
なっ!?何この人!!??
「スペインは初めてだし・・!友達行ってて良いな〜って思ってたし・・!!」
「遊びに行くんじゃねえんだよ」
「私にサッカーは関係ありません!遊びに行くようなもんです」
「はあ」
何度目かわからないため息をつき、携帯に翡翠を向ける。
「・・外国なんて」
初めてだもん。
一瞬、どこか遠くを見つめる私を翡翠が捉えた。