テラーノベル
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『レイブ、弟よ…… 又お前に迷惑を掛ける事となってしまった…… ズィナミの決定なのだ…… 先日お前の小屋、この場所を訪ねた生徒達の内三人が学院を去る事となってしまった…… 四回生のジョディとサンドラ、一回生のランディ・スカウトの三名だ…… とは言え彼等に行く所など無くてな…… すまんがお前が面倒を見てやってはくれないだろうか? 私が頼む、これこの通りだ』
そう言って頭を地面に擦り付ける様にしたパリーグに近付いたレイブは無言のままで両手を彼女の大きな下顎にそえてやさしく持ち上げると、自分の頭より高い位置に持ち上げて顔を伏せたままで告げる。
「頼む等有ってはいけない事、ただご命令下さい姉さん、レイブは何をすれば良いんですか? 彼らを与(あずか)り稽古をつける、それだけで宜しいでしょうか? 他にもこのレイブに出来る事があるのであれば、ご命令下さい! 誇り高い獅子の願いであれば、このレイブ、喜んで叶えて見せましょう」
そう言ってキャス・パリーグの下顎から手を離すと流麗な仕草で片膝を付き、まるで彼女の鋭く巨大な牙で噛み千切ってくれと言わんばかりに、その首を前方に差し出したのである。
レイブの後ろを付いて回っていたラマスも同様に跪(ひざまづ)いて幼い首を伸ばしている、殊勝(しゅしょう)な物だ。
『ふっ、ふふふふふ! 相も変わらずお前等師弟(してい)の古臭さは心地が良いなぁ、バストロ叔父上、セスカ伯母上仕込み、と言う事だろうかな、ははははっ! ふぅっ~、レイブ、ラマス、お前達がそう言ってくれるのならば、私も忌憚(きたん)無く言わせて貰うとしよう!』
そこで一旦大きく息を吸ったキャス・パリーグは、常以上にギラギラと輝く両の眼を二人に向けながら唸るように言うがその口元は悪戯(いたずら)そうな笑みをも湛えていた。
『レイブよ、本日より貴様をバストロ学院の準教職に任じる事となった! 併せてレイブの闘竜ギレスラ、獣奴ペトラにも同様に準教の資格を与える事とする! これよりは良く後進の手本となり正しく導くことを望む! だってさ♪』
レイブは顔を上げて聞き返す。
「えっ、じゅ、準教、ですか? 俺が、ですかぁ?」
『そうよレイブ、ズィナミ自身の決定です、とは言え特別な事をする必要は有りません、今までラマスに施していた指導を、今日ここに連れて来た五人にも同様に教えてあげてれば良いだけですよ』
顔を上げたレイブは周囲を見回したが次の瞬間疑問系の声で言う。
「姉さん五人ですか? 姉さんの他にはランディとジョディとサンドラの三人しか見えませんが…… もう二人いるんですかね?」
『ふぅ~、出ていらっしゃい、ほらライアっ、シンディっ』
キャス・パリーグの声より先に動いていたラマスが両手に掴んだ男女を力ごなしに引っ張り出して笑顔を向けながら言う。
「レイブ叔父様! この二人ってばパリーグ伯母さまの後ろに隠れていたんですよぉ、ずっとぉ! へへんアタシっ、ラマスは最初に見つけていたんだからぁ! ほれ、ちゃっちゃっと叔父様に挨拶するのですよぉ!」
『あらあら♪』
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