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あゝやっぱりダメだ…
席はほぼ埋まっている車内で
泣きたくなかった…
でもダメだ涙が溢れる
窓に写るわたしは
ハンカチでまつ毛が入った振りをしながら
目の端を何度も押さえてる…
いつの間にわたしはこんなに涙もろくなったんだろう
やるせない姿が映し出される窓を見ながら考える
今日は義母の誕生日
パートは休みをもらっていたので
お義姉さんと一緒に
久しぶりに会う嬉しさと共に
お祝いをしていた
気になるところはあるものの
良好な関係の旦那の家族
まさか早く仕事を終えたけいくんが
大きな花束を抱えて
現れるなんて
赤で統一された
一つ一つの花たちが
あなたよりお母さんが大事なのよと
ギラリとみてくるような
艶やかな存在感のある
花束を持って
連絡もなく駆けつけてくるなんて…
いつも明日仕事だから!で
わたしは終了なのに
仕事帰りに⁉︎
先月
29回目の結婚記念日だった
今までの人生で一番泣けた日だった
職場の用事でいないからと言われて
プレゼントや食べ物
何もなかったのに
前日もきていたけいくん
二日連続
今日はお祝いに駆けつけるんだ
お義母さんは花束を抱えて
嬉しそうな幸せな満面の顔で
わたしには最近見せない表情
のけいくんと写真を撮る
その時どこからかスマホが鳴り
わたしの気持ちを逆撫でするかのように
無邪気に
お兄ちゃんはわたしのこと好きだからと
言った義妹からのお義母さんへのLINE電話
2度目の久しぶりの笑顔のけいくんが
スマホの向こう側と話してる
みんなで笑顔で対応してるのを
冷えた細い
目でみているわたし
途中義妹の子供がでて
約束したからねと
何かをプレゼントするとけいくんが話してる
プレゼント…
結婚記念日はもちろん何も無い
そういえば義妹は子育てで大変だからと
以前けいくんは言ってた
わたしも子育てしていたんだけど
そんな優しさなかったよね
なんでそんなに生家には
優しい良い息子、兄であるのか
きっとわたしに対して
冷たい会話のない生活をしてるなんて
誰も思わないことだろう
心臓から冷たい血が流れて
表情まで冷えてしまいそうになる
笑顔の仮面が剥がれそう
もうこれ以上は無理だ…
理由をつけて
帰ることにしたのは
駅まで歩くこと20分前
歩きながら
胸の中では1本も木が生えてない
茶色の荒野の嵐が吹き荒れていた
どうして
なんで
結婚記念日とあまりに違う
幸せ世界に
あなたとは違うのよと
締め出されたようで
涙が出るわたしだった
まつ毛が取れたわたしは
眠そうに目をつぶり
自分を抱えるように腕を組みながら
抱きしめた