ヤァ、マルク元気カイ?
ボクの計画はぼちぼちダヨ。
でも、カービィってホントにスゴイヤツダネェ。まさか、ボクがポップスターに落としたエナジースフィアを全部集めちゃうナンテ……。まぁ、キミに勝ったんだし当たり前か。
マホロア
「は?」
マホロアからの手紙を読んではじめに出た言葉はそれだった。失礼な奴だ。ボクはカービィに負けたんじゃない。ちょっと失敗しただけだ。
そんな言い訳を脳内で再生しながら、山奥の忘れ去られた小屋でなんでもない日々を送っている。そういえばマホロアが作戦を始める前まではローアで寝泊まりをして、特に行先もなく、宇宙を漂っていたな……となんでもない事を思い出した……。
マホロアはクラウンのチカラを使って、カービィに勝てるのだろうか__
今更そんなことを考えたって仕方がないか…と投げ捨てられた手紙をぼーっと眺めながら思う。
仕方がない……返事を書いてやるか
あ、マルクから手紙ダ。
少しワクワクしながら手紙を開けるとそこにはマルクの雑に書かれた字が並べられていた。手紙の内容は如何なものかと読んでいると、前に送った手紙に対する文句がつらつらと並べられていた。よくもこんなに文句が思いつくなと思いながら、丁寧に読み続けていくと、最後の文に突っかかった。
「まぁ、無理だろうけど無事に帰って来いよ。それでまた行先もなく宇宙を漂おうぜ」
さっきまで文句ばかりだったのに、その文字にはマルクの本心が書かれていた。
まぁ、また手紙を書くかと思えた。
またマホロアから手紙が来た。最近ずっと手紙が送られては返事を送っている。まぁ単なる生存確認としては便利だが。もうすぐカービィの旅も終わりを迎える。マホロアには正直いうと早く会いたいのに、終わって欲しくない気もする。でも、とりあえず手紙の返事を書いた。
でも、マホロアから返事は来なかった。
ある日、ローアを見つけた。まぁ、見るも無惨な姿であったが。とりあえず中にいるであろうマホロアを野次ってやるかと、中に入った。
マホロアがいない。
ローアのモニターが光る。真っ暗なローアの中でそのモニターだけが輝いていた。その眩しさに目を細めながら、ローアのモニターに移った映像を見た。
そこには……マホロアとカービィの戦いが映っていた。最後マホロアは消滅した……
……。ボクは眉間に皺を寄せた。どーせどっかの空間で何気なく生きてるのサ。そう自分に言い聞かせながら俯く。
ローアがモニターに文字を浮かべる。
「マスターは居なくなりました。」
「現在、死人を復活させる方法はありません……」
……目頭が熱い。ほのかに熱い液体が頬をつたる。ボクはできるだけ笑顔を作って顔を上げた。
「ローア、バイバイなのサ…」
ローアのモニターに文字が浮かぶ。
「……さようなら…」
ボクは重い足を交互に動かし、ローアを出た。
ある日、お昼寝をしたマルクを見つけた。
あまりにもぐっすり眠っていたから、家に連れて帰ってベッドで寝かせてあげた。
その時やっとマルクの目が腫れていることに気づいた。それを見て思い浮かんだのは何故かあの言葉だった。
「ボクの知り合いでキミとケンカしちゃったヤツがいるんダァ」
……。どうして今思い浮かんだんだろう……?「ボクはキミを絶対許さないのサ!!」
かなり前、マルクと戦った後マルクが放った言葉だった。
「許してくれなくて当然だよ……。許さなくていいよ。」
マルクにそう言った時、やっとマルクは瞼を開けた。
「キミはやるべき事をやっただけなのサ」
そう言ってマルクは家を出た。僕は止めなかった。止める資格なんてなかった……。
マルクが死のうとすることは、目に見えていたのに……。
それから数年後、ポップスターに、異変がまた起こった。ジャマハート?というものが宇宙各地に降り注いだ。いつもの日々を取り戻すために、冒険に出た。その時途中でよったドリーム神殿で、僕はドリームステッキを手にした。すると、ドリームステッキがピカッと光って僕の目の前に現れたのは…
マホロアだった。
「ヤァ、カービィ。久しぶりダネェ」
そう何気なく発せられた言葉に僕は目を丸くした(マルクだけに)
「え、な、なんで?」
口から出た音は、思ったよりおずおずとしていた。
「いやぁ、ホントに色々あったんダヨォ」
「そっ、か…」
いつも通り話すマホロアに、マルクの事を僕は何も言えなかった。
何となく、言えなかった。
「どうしたノォ?カービィ」
「……」
かけられた言葉に返す言葉が出てこなくて、僕は俯いた。マホロアみたいに嘘が上手くつければいいのに。
「やっと帰って来れた……。」
カービィに倒された後、異空間を漂っていたボクは、チカラを失ってしまった。
チカラを取り戻すまでは異空間から出られなくて、仕方がないから少しチカラをつけた後、そこで異空間のカービィ等の冒険者を客として商人をした。
そしてやっと、元のチカラを取り戻した。
帰ってきてから初めに思い浮かんだのは、腐れ縁の道化師の顔だった。今頃どうしてるかなと思いながら、そこら辺をほっつき歩いていると、ローアを見つけた。
ローアは見るも無惨な姿で、そこに佇んでいた。とりあえずボクはローアの中に入った。ローアの中は真っ暗で、誰もいなかった。とりあえずローアの電気をつけて、とりあえずできる限りの修理をした。その時やっとローアが反応した。
ローアはモニターに文字を浮かべた。
「おかえりなさい……マスター…」
ローアの様子に少し違和感を感じながら「タダイマ」と返事をした。
できる限りの修理が終わってから、ボクはマルクを探しに行った。どこにもいなかったけど、きっとどこかをほっつき歩いているんだろうと思った。
そこから数日だった時、宇宙にジャマハートが降り注いだ。
カービィに着いていって、宇宙を旅したらマルクも見つかるだろうと思ってカービィについて行った。
マルクはどこにもいなかった。
仕方なくカービィにマルクの行方を聞くことにした。
「ネェ、カービィ。マルクがドコにいるか知らナイ?」
冒険が終わって、マホロアが僕に言った言葉はそれだった。
「え、えっと……」
次の言葉を発するのに、酷く怯えてしまった。マルクが死ぬのを止めなかったから……
マホロアに恨まれると思った。
僕は間違えたから……
許されなくて、当然だから……
「……マルクは…
いなくなった……。」
「エ?」
マホロアは間の抜けた声を漏らした。
「マホロアを探して……。
いなくなった……。
もう、この世に居ない。どこにも居ない。」
「ボクのせいで……?」
「僕が、止めなかったから…。
止められたのに。マルクが死ぬのを止めなかったから。」
僕はヒーローなんかじゃない……。
嫌われ者だ。
……。
ローアに帰った。カービィを無視してしまった。
「ローアは、シッテタノ?」
ローアのモニターに文字が浮かぶ
「はい……。」
「私が、マルク様に嘘をついてしまったのです……。」
「私のせいです。」
「そんなことナイヨ……。」
ローアも、カービィも、自分が悪いと言うのは、全部ボクのせいだから。
初めから、マスタークラウンなんて、宇宙なんて、欲しがらなければよかったのに……。
今になってやっと気づいた。
マルクがボクにとってのクラウンだったんだ。
thankyouforwatching…
コメント
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この小説を読んでくださった方々へ。 カービィの二次創作の小説で私の小説がもっと読みたいと思ってくださった方は「ばちばsoul」というアカウントで投稿するつもりなのでそちらをご覧下さい