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ジュンパクの息は絶え絶えで辛うじて意識を保っているようだ。
その姿はまるで死神の影が迫り来るかのように、極限の状態を物語っていた。
「……ジュンパク!?」
ヒロユキはジュンパクを見てすぐに駆け寄る。
「一命はとりとめてますヒロユキさん、ただ……無くなった腕の方は……」
「……」
「ヒロユキ君……」
「妹ちゃん、あなたにも少し話があるから、ここはヒロユキさんに任せてこっちに来て話しましょ」
アオイはアカネに従い小屋の外に出ていった。
「アニ……キ?」
「……ジュンパク!」
「えへへ……しくっちゃった」
「……あんまりしゃべるな、もう大丈夫だ」
「ごめんね、アニキ……大事なときに1人にしちゃって……その、様子だとうまくいったみたいだね」
「……」
「ミーってさ、小さい頃から、悪い事しかしてこなかったからきっと、つけが回ってきたんだね……」
「……」
「言ってなかったよね……あの時、ミーを助けてくれて……ありがとう」
「……」
「初めてだったんだ、助けられたの……あの時、ミーの事を知らなかった他人なのに、どうして助け、たの?」
「……兄さんの教え」
「ふふ……そっか……アニキのアニキ……会ってみたいな」
「……いつか会わせてやる、だから」
「……」
「……だから今は俺に任せて、ゆっくり休め」
それを聞くとジュンパクはホッとした顔になってゆっくりと目を閉じた……
「………………」
ヒロユキは立ち上がり、目を閉じる。
「……俺は、弱い」
周りでは、魔法が炸裂し地が揺れるが、その激しい騒音や揺れが無くなっていく感覚に陥った。
「__だけど、今、俺は“任せろ”と言った」
ユキ、ジュンパク、ナオミ、リン、ショウ……そして兄。
周りはみんな強かった。
「……兄さんはどんな気持ちだったのだろう」
いつも当たり前の様に近くにいてくれたユキ。
元の世界では会えるのが当たり前だった兄。
そして、新たに頼れる仲間になったジュンパク。
いつも頼りにしてる人達が居なくなって解る__
“自分は無力だと”
「………………だけど」
頭に出てくるのは兄の言葉。
「……“男にはやらなきゃ行けない時が来る!”」
そうつぶやくと、頭の奥深くに文字が現れるかのような感覚が彼を包み込んだ。
「【武器召喚】」
彼は意識を集中させ、その魔法を唱える。
目を閉じ、深い呼吸をする。そして、彼の前に空間が歪み始める。
「…………」
彼は静かに息を吐き、その空間の中に手を伸ばす。何かを掴み取り、引き抜く。
「……これが、俺の武器」
手に握ったのは、周囲の光を反射し輝く立派な日本刀だった。