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・莉音作ではありません
・いちご視点の話
察パロ
竜胆に食べられた苺視点の話
僕は苺。
僕の夢は誰かに美味しく食べてもらうこと。
そのためにはいろいろ頑張らなくちゃいけない。
昔までは季節の食べ物だったんだけど、時代が変わっていつでも食べられるようになってる。
時代が変わるっていいね。
でも、美味しく食べてもらうためには農家さんの畑に約8ヶ月はいなくちゃならない。
その間にまず花を咲かせなくちゃならないんだ。
農家さんがどれだけ僕たちに愛情を注いで育ててくれるかも関係するんだけど、品種とか株の葉齢や肥料、日当たりとか大きな自然と戦わなくちゃいけない。
ここで沢山の仲間が死んでいくこともある。とっても悲しい。
だいたいのみんなは誰かに美味しく食べてほしいのが夢だから。
花が無事に咲き終わっても、問題はたくさんある。
実が少しでも大きくなると、ダニさんとか色々な虫さんに食べられてダメになってしまうことがあるんだ。
そうなってしまうと、他の仲間に移らないようにその子とはさよならをしなくちゃいけない。
ここでも沢山の仲間が死んでいくこともある。
僕たちは運が良くて、とても優しい農家さんのところだった。
環境が整ってるところで育ててもらったから仲間とさよならすることが少なかったと思う。
沢山の仲間の支えと、農家さんの愛情があって1月になった。
明日、収穫になるらしい。
とっても楽しみだけど不安も大きい。
みんな立派で大きく育っていたけど、僕はダメだったんだ。
他の子よりちょっとだけ小さかったんだ。
売れないと判断されてしまったら捨てられることもある。
小さいものよりも大きいものの方が好む人が多いから食べられずに破棄されてしまうこともある。とっても怖かった。
だけどね、農家さんが頑張ってくれたから僕は店先に並ぶことになったんだ!
綺麗に体を洗ってくれて、沢山の検査をして。
今まで辛いことはあったけど仲間や農家さんの愛情を思い出してここまで頑張れたと思う。
感謝だね。
でも、やっぱり小さかったから売れにくかった。
他の仲間の方が先に手に取られていったんだ。
ああ、僕はもうダメかもしれない。
そう思って諦めてた時だった。
とっても綺麗で、まるで人間離れのような顔の男性に目をつけられたんだ。
パープルアッシュと黒のツートンカラーの髪色をしていた。
なんでこんな人が僕みたいな小さいものを取るんだろう…とっても不思議だった。
でも、それ以上にこの人に食べられるんだって嬉しくて仕方なかった。
家に着いてしばらくは冷蔵庫にいたんだけど、何時間か経ってまたその綺麗な男性がきて、僕の体を丁寧に洗ってくれた。
やっと食べてくれる。
やっと夢が叶う。
そんな気持ちでいっぱいだったけど、僕の目の前に現れた人は違う人だった。
顔つきが似ていているから兄弟だと思う。
弟?さんかな。
髪型は…なんて説明したらいいのかわからないや。
でも、僕はすぐにわかった。
この人に食べられるんだって。
でもね、弟さんはすごく泣いていた。
お兄さんも少しだけ悲しんでるような顔をしている気がしたんだ。
だけど、弟さんが僕を見た瞬間すっごい笑顔になったんだ。
とっても嬉しかった。
ここに来るまでに沢山の苦しみや葛藤、苦労があったから。
もう無理だ、と諦めていた僕に新しい光を与えてくれた大切な人。
僕は食べられるだけだと思ってた。
こんな小さい僕を見て笑ってくれるなんて思いもしなかった。
所詮は果物。
みんな無関心で食べるものだと思っていた。
弟さんが”いただきます”って言って、僕を大切そうに掴んだ。
どんどん口へと運ばれていく。
ここで僕の人生は終わってしまうけど、最後にこんなに素敵な笑顔を見れてよかった。
僕を見て笑顔になってくれてありがとう。
名前もわからないけど僕は忘れないよ。
また、いちごになってこの人に食べられたい。
救ってくれてありがとう。
僕を選んでくれてありがとう。
ここまで支えてくれたみんなに、食べてくれるみんなに沢山の感謝を込めて____。
薄れていく記憶の中、弟さんの声がした。
“ごちそうさま!!!”
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コメント
11件
うわぁぁぁ、天才すぎる… え、たこ焼き様は苺視点まで書いちゃうんですか!? やばい次何が出るのか楽しみすぎる😭
いちご視点なんかすげぇ切ねぇ〜、www いちご視点まで作る莉音ちゃんが可愛w