テラーノベル
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僕が彼を見上げると、愛おしそうに僕を見つめる優しい視線とぶつかった。
あまりにも真っ直ぐに向けられるその熱に、なんだか胸がそわそわして、僕はふっと視線を落とした。
「……なんか、さ」
「んー?」
「しゅんって、俺の事好きみたいな目してるよね」
「おぉ、大正解!! しゅんたはじゅうが大好きなんさ! ようわかったな、天才やん!!」
「わかりやすくて……助かる……」
「俺、じゅうへの好きが大きすぎて、全身から溢れ出とるんかなぁ?」
何でもストレートに、包み隠さず言葉にしてくれる彼が、なんだかくすぐったい。
でも、シンプルに、もの凄く嬉しい。
過去にどれだけ傷ついても、僕なんかを、こんなにも真っ直ぐに愛してくれる人がここにいる。
「ねぇ、しゅんのそばに… ずっといてもいい……?」
「ちょっ……// ま、まぁ、それはこっちが全力でお願いしたいとこやわ!」
「ねぇ…、しゅん?……大好き」
「なっ// ――はぁ、もう……。こんな状況で、それ以上そんなかわいいこと言わんとってや……」
「……え……?」
「いや、『え?』やないで? ……俺が、俺が今、どんだけ我慢しとるか、じゅうは知らんやろ……?」
呆気にとられる僕の顔に、しゅんはさらに顔を近づけると、おでこにそっと優しく口づけをした。
「わっ! ちょ//」
「もう、そうやって煽るんはなし!! ほんま、我慢できんくなってまうから……」
「そんなつもりで言ってないのにぃ……」
本当にただ思ったことを言っただった。
煽るとか、誘うとかそういうんじゃない。
理不尽に怒られた気分になって、僕は不満げに困った顔で彼を見つめた。
すると、しゅんはさらに深くため息を吐き出す。
「……はぁ、じゅう……俺、ほんま心配やわ。こんなかわいい顔、ほかで見せたら絶対あかんで……?」
しゅんは眉を八の字に曲げて、切なそうに僕を見つめる。
その過保護なまでの視線が愛おしくて、僕は首を少しだけ傾げて、水中で彼の大きな右手を取り、そっと指を絡めた。
「でも、しゅんが守ってくれるんでしょ?」
「……っ、……もう、ほんま、……。絶対に守る。何があっても、一生守る。約束する」
しゅんは一瞬だけ頭を抱えたかと思えば、僕の手を今度は両手でがっしりと握りしめ、僕の目を真っ直ぐに見据えて”約束”をくれた。
「しゅんがいてくれてよかった。ありがとね」
「あぁー、じゅう!! もう、ずっと部屋に閉じ込めておきたいわ……っ」
「いや、それはちょっと……」
「流石に冗談やけど。できることなら本当にそうしたい」
クシャッと笑う彼の顔は、でも、どこか半分くらいは本気混じりのように見えて、僕は少しだけ苦笑いした。
そんな彼への絶対的な安心感に包まれながら、僕はふと思い出した事実を口にする。
「あ、そういえばさ、言い忘れてた。前の会社に、あの遠藤がいたんだよね」
「……は?」
その名前を出した瞬間、しゅんの顔から一切の笑みが消え失せた。
お湯の温度が急激に下がったかと思うほどの、冷たい静寂が走る。
「いや、俺は本社勤務だったから知らずにずっと働いてたんだけど、遠藤が支店から異動してきてさ……」
「……」
「でも、その時、僕のことを守ってくれた人がいたんだよ。俺の数少ない友達?っていうかお兄ちゃんみたいに思ってる人なんだけどね」
「…………そうなんや、」
「いつかしゅんにも紹介したいなぁ」
「それは……紹介してもらわないかんわ、絶対に」
「……なんか、顔こわいよ?」
「、、、、、」
しゅんの瞳の奥が、見たこともない暗い色に染まっていく。
遠藤の事を気にしているのだろうと思い、
「あ! その時は遠藤に何もされてないよ!その人がすぐに助けてくれたから!だから大丈夫! 安心して!!」
「……へぇ。まぁ、その人には、俺からも感謝しないといけんなぁ?」
「それにね、遠藤と僕を引き離すために、今の会社を紹介してくれたのも、はやちゃんなんだよ!」
「へぇ……はやちゃん、ね」
「う、うん。はやちゃん。俺らの、4個上の先輩」
「そうなんや。じゅうを守ってくれる人がいて、良かったわ。ほんまに、なぁ?」
おかしい。
さっきから、しゅんの顔がずっと怖い。
遠藤に対して怒っているのかと思ったけれど、どうやらそれだけでもなさそうだ。
低く地を這うような声色に、僕はなんだか気圧されてしまう。
「は、はやちゃんは……その、優しいお兄ちゃんみたいな、感じの人だから……。あの、今度、ちゃんと、紹介、するね……?」
「おう。紹介してや。はやちゃん、な」
「うん……っ」
「、、、、、、」
やっぱり変だ。
いつもなら「じゅうの友達なら俺とも友達やな!」とか言って大はしゃぎするはずなのに。
「……なに……? どうしたの?」
「なんもないで?」
「そ、そう……?」
「……もう、そろそろ出よか」
そう言って、しゅんは僕の手を離し、水飛沫を上げて浴槽から立ち上がってしまった。
いつも優しい彼とは違う彼の広い後ろ姿を、僕は少しだけ戸惑いながら慌てて追いかけた。
to be continued……
コメント
3件

更新ありがとうございます🥲 嫉妬しゅんちゃんもさいこう