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#溺愛
桜咲かな
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桜咲かな
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#百合
第二十五話 言葉の続き
翌日の放課後。
彼女は帰宅すると、
鞄を置いてすぐにスマートフォンを確認した。
まだメッセージは来ていない。
最近は、サイトを開く前から少し期待してしまう。
「今日は何話すんだろ」
そんなことを考えながら、夜になるのを待った。
いつもの時間。
サイトを開く。
すぐに相手が現れた。
『いた』
『いるよ』
『今日は早い』
『昨日そっちが遅かったから』
『覚えてたんだ』
『覚えてるよ』
何気ない会話。
けれど、その日は少しだけ違った。
彼女は昨日のことを思い出していた。
「もう一枚ある」
そう言っていた写真。
まだ見せてもらっていない。
『ねえ』
『なに?』
『昨日の写真』
『うん』
『やっぱり気になる』
『そんなに?』
『うん』
少しして、
『じゃあ、少しだけ話す』
と届いた。
『写真は?』
『まだ秘密』
『なんで(笑)』
『先に話したい』
彼女は画面を見つめた。
『分かった』
彼は少しずつ話し始めた。
昔、その場所に誰かと行ったことがあるらしいこと。
その人と何か約束をしたらしいこと。
でも、肝心なところだけ思い出せないこと。
『その人のこと、少しでも思い出せそう?』
『顔はまだ無理』
『声は?』
『なんとなく』
『どんな声?』
『分からない』
『そっか』
彼女はそこで一度言葉を止めた。
聞けば聞くほど、相手が苦しそうに感じたからだ。
『無理しないでね』
『うん』
少しして、
『でも、最近ちょっと変なんだ』
と届いた。
『何が?』
『昔のことを考えると、同じ言葉ばかり浮かぶ』
『何て言葉?』
彼は少し迷ってから、
『「またね」』
と送った。
彼女の指が止まった。
なぜか、その言葉を見た瞬間、胸の奥がざわついた。
『……変なの』
『何が?』
『私も、その言葉を聞いたことがある気がする』
『え?』
『分からない。昔のことだと思う』
二人とも、しばらく何も送らなかった。
偶然なのかもしれない。
よくある言葉だ。
それなのに、妙に引っかかる。
やがて彼が、
『会ったときに、全部話す』
と送った。
『全部?』
『思い出せる範囲で』
『分かった』
『だから、そのときまで待ってて』
『うん』
そこからは、いつもの話に戻った。
学校のこと。
好きなもの。
くだらない話。
笑っているうちに、
さっきまでの重たい空気も少しずつ消えていった。
夜が深くなり、最後に彼女が、
『おやすみ』
と送る。
『おやすみ』
返事を見届けてから、サイトを閉じた。
彼女はベッドに入った。
目を閉じても、
「またね」という言葉が頭から離れなかった。
どこで聞いたのだろう。
誰に言われたのだろう。
思い出そうとすると、何かが浮かびそうになる。
でも、あと少しというところで消えてしまう。
その頃、彼もまた同じ言葉を思い返していた。
机の引き出しから、三枚目の写真を取り出す。
裏返す。
そこに書かれている言葉を見る。
「次は、ちゃんと話そう。」
そして、その下には――
古くて薄い文字が、もう一つ残っていた。
「またね。」
コメント
1件
うわあああ…第25話、胸がぎゅってなったよ😭💕 「またね」って言葉に二人とも引っかかってるのが切なくて、でも運命的で…! まだ会ったことないのに、過去で繋がってる感じがするの、エモすぎる…。 それにしても三枚目の写真の裏に書いてある「またね。」が不穏すぎるんだけど!! 彼の記憶のカギっぽくて続きが気になりすぎる…次の話、早く読みたいよ〜!!🌸