「俺、お前のその顔嫌い」
その一言でざわついてた教室は
嘘みたいに静かになった
俺と彼女に集められた視線が
痛いほど刺さった
一瞬、彼女は酷くショックを受けた顔をした
でも
『も〜、酷いなぁ』
そう言って彼女は笑顔を見せた
違う、
そんなの知らない
そんな苦しそうに笑うなよ、
俺と彼女は
小さい頃に会ったことがある
でも彼女はそんなこと覚えていない
いや、俺が誰かわからないだけだ
彼女に褒められた黒髪は跡形もなく消えてしまったから
周りと比べて体が小さかった俺はよく近所のガキ大将にいじめられてた
そのたびに彼女が追い払って弾けるような笑顔で手を差し伸べてくれた
持病の悪化で引っ越すことになり
高校生になった今年
やっとこの町に戻ってきたが彼女がまだいるかはわからない
でも彼女に会うために来たから会えることを願う
入学式の新入生挨拶
そのとき前に立ったのが
俺が会いたかった人であることはすぐわかった
嬉しくて嬉しくて
早く話したいと思った
同じクラスになったときは夢かと思った
でも
俺のことを覚えてるか不安ですぐに話しかけるのは無理だった
それから
ただ彼女を目で追う日が続く
彼女を見ていると
いまそこにいるのは俺が知ってる人では無いことがわかってきた
頭がよくて運動もできいつも誰かのために動いており何を言っても笑顔で受け答える
絵に書いたような優等生
俺にも1度、笑いかけてきたことがあった
知ってる笑顔のはずが全く違うものに見えた
嘘で固められた作り笑顔
俺の知っている
俺の憧れている
俺の大好きな
彼女は目の前にいるのに
作り笑顔を見る度に
彼女はもう死んでいる
そのように見えてしまった
悔しくて苦しくて
嫌で嫌でたまらなくて
昔みたいに弾ける笑顔で笑いかけて欲しくて
彼女を傷つけるつもりはなかったけど
ついに我慢の限界がきて
みんながいる教室で
彼女に言ってしまったんだ
「なんで昔みたいに笑えないんだ嘘でしかない笑顔するなよ気持ち悪いな”俺、お前のその顔嫌い”」
コメント
12件
夜が明けたら1番に君に会いにいくめちゃ感動するよね! 書くのうま、
「夜が明けたらいちばんに君に会いにいく」をさんこーにしてみた!!