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シンニュウセイ「―――光。僕の言いたいことは解るよね」
「…おう……」
「次同じようなことがあったらもう祓い屋は辞めさせるからね」
冷ややかな双眸が光を捉える。
「…判ったよ」
「…うん、それでこそ光だね」
ニコリと笑顔に変えた。しかし光はまだ複雑でいる。仕方の無いことだが。
***
「―――今日、かもめ学園高等部に転校してきた者がいる。入って自己紹介をしろ」
――こんな時期に転校生?――珍しいわね…――可愛い子かなぁ。などとそれぞれの声が上がる。
そして、扉が開いた。
「…初めまして、神楽坂永環です。これからよろしくね」
静かに微笑む。
(わ……足細っ!それに、綺麗な白髪…ん?まって、今この子神楽坂って……)
「それでは神楽坂さんは八尋さんの隣の席ね」
「はい」
綺麗な腰以上ある長い髪を靡かせ寧々の隣へ座った。
「これからよろしくね、八尋さん」
「よ、よろしくお願いします!」
―――――――――
昼休み。やはり転校してきた永環の人気は大きく席の周りにたくさんの人だかりができている。
「神楽坂さんって綺麗な黒髪だよねそれに長いしさ!どうやって手入れしてるの?」
(え…?白髪じゃないの?)
口にはしていないが顔に出やすい寧々は永環に気づかれていた。
「ごめんなさい。私、ちょっと用事があるの。…八尋さん、一緒に来て」
コソッと耳打ちをされそーっとその場から離れた。
――――――――――
「えっと…神楽坂さん…?」
じっと顔を見つめられる。
「…貴女、当代のカンナギね?それに私の髪の色も白髪と見抜いた」
「なんで、それを…」
「あら聞いていなかったかしら。私は、祓い屋三柱の一つ、第六十四代・当主、神楽坂永環です。私…」
「ちょっと待ってて!!」
「…はい?」
絶対やってはいけない廊下を全力疾走しどこかへ行って走り去ってしまった。…なにかしてしまっただろうか?
と考えるのも束の間。数分したらまた複数の足音が聞こえてきた。
「…えーっと、八尋さん?これは一体どういうことかしら」
「祓い屋の貴女なら顔見知りよね!さ、話してどうぞ」
話せと言われても…何を話せば…と熟考していると輝が口を開いた。
「やあこんにちは。今日から転入してきた高等部一年A組の神楽坂永環さんだね」
「ええ。さすがこの学園の生徒会長でありますわね。もう私の名前を覚えていらっしゃる。おまけに学年、組までも」
「それはそうに決まっているだろ?」
などと皮肉な会話が続いている。
「…早く戻っていい?こんな不毛な会話してる暇ない」
「そういえば貴女、前の会議に参加してなかったわね」
「あれは任務が長続きしたのよ。しょうがないでしょ?立花家は私一人しかいないんだから」
「ならそれ以上の力をつける事ね」
「そのままそっくりお返しするわ」
「頑張ってね」
ニコニコと笑顔を送る輝に皆の視線が一斉にそちらに向かう。
「あんた、何様のつもりなのよ?」
「そりゃあ、生徒会長で源家の長男」
はぁ…と煌神がため息をつく。
「いいわ。手合わせしてあげる」
と何故か対戦することになり霊力で翠神札を作り出す。だから、なんで?
「へえ、久しぶりに手合わせなんてするなぁもうあれからだいぶ時間が経ってるけど大丈夫なのかな?」
「ちょ、ストップストップっす!先輩方!」
と、光が割って入る。
「…そうね。ここは学校。壊れたらただじゃすまないわ」
やめておきましょう。と言い強制解散となった。
***
「そうそう、今日私のクラスに転校生が来たのよ!」
「へえ?」
「とっても、綺麗な白髪でね?足もスラッとしてるのよ〜」
楽しそうに話す寧々を後ろに花子は問うた。
「…もしかして、神楽坂っていう子じゃないよね?」
「当たりよ!神楽坂永環って子。というか知ってたのね」
「まあ……ヤシロ、あの当主には気をつけておいた方がいい」
「なんで?」
「……なんでも。じゃあ今日は帰っていいよ掃除も終わったし」
「うん……?」
花子の様子にあまり納得のいってない様子の寧々だが渋々そこを出る。
「―――ああそうだ。手の甲、出して」
恐る恐る出した手の甲には呪いがかけられた。本人は「心配だから」の一点張りだが。
「それじゃあ、帰るね」
「うん、気をつけて」
ご丁寧に門まで送ってくれた。今日は少し変らしい。
―――――――――
「―――ねー桜」
「何かしら?」
「噂作れた?」
「ええ。この後流すつもりよ」
やったーと歓喜する者の後ろに人影がよってくる。
「…ごきげんよう、御三方」
「こんにちは。刹亡さん。気分はどうかしら」
「なんとも言えないです。でもまあ、緩和されたかと」
永環の瓜二つの少女が現れた。しかしそれぞれの要素は違うようだ。
「そう。なら良かったわ。夏彦、影神がいるか見てきてくれる?」
「お嬢の頼みとあらば!」
と颯爽に放送室を出ていった。と思ったら直ぐに帰ってきた。いなかったのだろうか。
「…何の用」
「貴女の助手の話よ」
「…私には杖代が三体もいるわ、結構よ」
「そうだけど彼女のためでもあるのよ。貴女なら協力してくれるわね?」
「……はあ。お好きにどうぞ」
これ以上話しても無駄だと悟ったのか承知をしてくれた。
「それじゃあ、流すとしましょう」
ヘッドホンを付けラジオを付けた。それを皆が見守る。
「―――こんな噂、知っていますか」