テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
校内放送が鳴り響いた。
『警告』
『対象死亡時、実験体116番を処分します』
静寂。
湊の顔色が変わる。
実験体116。
娘だ。
司会者は首を掴まれながら、苦しそうに笑った。
『あは……っ、はは……』
『ほらねぇ』
血を吐きながら、嬉しそうに囁く。
『愛って、人を壊すでしょう?』
朧の爪が、司会者の首へ深く食い込む。
あと少し力を入れれば終わる。
けれど――娘がいる。
湊は震える声で叫んだ。
「朧!!」
その瞬間。
鬼の赤い瞳が揺れる。
怒りで理性を失いかけていた朧が、ゆっくり湊を見る。
司会者は苦しそうに笑った。
『そう、それですよ……』
『愛する相手のために壊れていく顔……最高だ……』
朧は舌打ちし、司会者を乱暴に壁へ投げ飛ばした。
司会者は床へ転がりながらも笑っている。
気味が悪い。
その時だった。
突然、校舎全体の赤いランプが点滅し始める。
――WARNING
――WARNING
機械音声が鳴り響く。
『試験開始まで残り十分』
同時に、廊下の奥から無数の足音が聞こえてきた。
人じゃない。
ズル……ズル……
何かを引きずる音。
湊の背筋に冷たいものが走る。
朧はすぐ湊を背後へ庇った。
その瞬間。
天井が割れる。
ドガァンッ!!
黒い影が落ちてきた。
「っ!?」
湊は反応が遅れる。
気付いた時には、長い腕が身体へ巻き付いていた。
冷たい。
骨みたいな感触。
「湊!!」
朧が叫ぶ。
だが遅い。
化け物は湊を抱えたまま天井へ跳び上がる。
速い。
人間じゃ追えない速度。
湊は必死に暴れる。
「っ、離せ……!!」
だが腕の力が強すぎる。
化け物は異様に長い舌を垂らしながら、湊の首筋へ顔を寄せた。
「……ぁ……」
冷たい息が触れる。
嫌悪感で身体が震える。
司会者は下で大笑いしていた。
『あははは!! お気に入りですからねぇ、その子!!』
朧の鬼気が爆発する。
廊下が吹き飛ぶ。
次の瞬間。
ドォンッ!!!
朧が天井へ叩き込まれた。
鬼の拳が化け物の顔面を砕く。
血が飛び散る。
しかし化け物はまだ湊を離さない。
その腕が、執着するみたいに湊へ絡みつく。
湊は恐怖で呼吸が乱れる。
「っ、朧……!」
次の瞬間、化け物は天井へ跳び上がった。
速すぎる。
湊は一瞬で床から引き剥がされる。
「っ、ぁ……!!」
胃が浮く。
化け物は四つ這いのまま天井を高速で走り始めた。
ガガガガッ!!
爪が天井を削る音が響く。
湊は必死に暴れる。
「離せ!! っ、やめろ……!!」
だが腕の力が異常だった。
肋骨が軋む。
呼吸が苦しい。
化け物は笑っていた。
裂けた口から、粘ついた液体を垂らしながら。
「みぃ……つけたァ……」
耳元で囁かれ、湊の全身が震える。
その舌が、首筋へぬるりと触れた。
「っ、ぅあ……!!」
冷たい感触。
気持ち悪い。
吐き気が込み上げる。
だが化け物は嬉しそうに喉を鳴らす。
「やわらかい……にんげん……」
長い指が湊の身体を執拗に撫で回す。
逃げようとしても無理だった。
完全に捕まっている。
下では司会者が腹を抱えて笑っていた。
『あははは!! お気に入りですねぇ!!』
『やっぱり花嫁って特別なんですよ!!』
湊は恐怖で息が乱れる。
朧は下から追ってきていた。
だが化け物の動きが速すぎる。
天井。
壁。
窓。
狂ったように校舎中を走り回る。
湊の身体は揺さぶられ続け、視界がぐちゃぐちゃになる。
その時。
化け物が突然止まった。
真っ暗な教室。
割れた窓から月明かりだけが差し込んでいる。
化け物は湊を壁へ押しつけた。
ドンッ!!
「っ、ぁ……!」
背中へ衝撃が走る。
逃げようとするが、長い腕が両手首を押さえ込んでいた。
化け物は顔を近付ける。
赤い目。
裂けた口。
そこから垂れる粘液。
「……きれい」
ゾッとする声だった。
化け物の舌が頬を舐める。
首筋。
耳。
執着するみたいに。
「っ、や……っ!!」
湊は必死に顔を逸らす。
だが化け物は楽しそうに笑うだけ。
指先が湊の服へ触れる。
乱暴に引っ張られ、布が裂けた。
「っ!!」
恐怖で涙が滲む。
化け物は、その反応を見て嬉しそうに喉を鳴らした。
「こわい……? いたい……?」
冷たい指が胸元をなぞる。
逃げたい。
叫びたい。
だが声が出ない。
化け物の冷たい腕が、湊の身体へ絡みつく。
「っ……ぁ……!」
締め付けが強い。
息が苦しい。
赤い目が、じっと湊を見ている。
「きれい……」
掠れた声。
長い指が、ゆっくり湊の頬を撫でる。
その感触に、湊の肩がビクリと震えた。
「や……っ、触るな……!」
必死に抵抗する。
だが化け物は嬉しそうに笑うだけだった。
裂けた口から粘ついた液体を垂らしながら、顔を近付けてくる。
冷たい息が首筋へかかる。
ゾワッ――。
「ぁっ……」
思わず声が漏れる。
化け物はその反応に興奮したみたいに喉を鳴らした。
「こわい……? ふるえてる……」
長い舌が、首筋をゆっくり這う。
冷たい。
気持ち悪い。
それなのに、恐怖で感覚が敏感になっていた。
「っ、ぁ……や……!」
湊は涙目のまま身体を捩る。
しかし腕を押さえ込まれ、逃げられない。
化け物は執着するように、何度も首筋へ触れてくる。
「やわらかい……」
耳元で囁かれ、湊の呼吸が乱れた。
怖い。
早く逃げたい。
朧に会いたい。
だが化け物は離してくれない。
むしろ湊の反応を楽しむように、さらに身体を密着させてくる。
「っ……ぁ、やめ……!」
その時だった。