テラーノベル
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血の匂いがまだ残る廊下を、二人は並んで歩いていた。中国は北朝鮮の腕に寄り添い、か細い声で何度も「怖いアル」と繰り返していた。
そのたびに北朝鮮は胸を張り、彼女を守るように前へ立った。
やがて、小さな部屋に辿り着く。
扉を押し開ければ、そこには古びた机と椅子が並んでいるだけだった。
薄暗いランプの下、二人きり。
🇰🇵「……ここなら、少し休めそうです」
北朝鮮が振り返る。汗に濡れた額、疲れ切った顔。だがその瞳にはまだ「守らねば」という強い光が宿っていた。
中国はゆっくりと微笑んだ。
🇨🇳「……本当に、ありがとうアル。ここまで来られたのは、お前のおかげアル」
その言葉に、北朝鮮の胸は熱くなる。
🇰🇵「中国さん……俺は、何があっても……絶対に――」
言葉の途中。
ひやりとした感触が、腹部を貫いた。
🇰🇵「……え?」
視線を落とす。自分の身体に突き刺さった刃――それを握っているのは、目の前の中国だった。
🇰🇵「ちゅ……中国、さ……ん……?」
声が震える。信じられないという表情で彼を見つめる。
中国の顔は、先ほどまでの弱々しいものではなかった。
瞳の揺れは消え、冷たく細められている。唇は皮肉げに歪んだ。
🇨🇳「……ご苦労アル。我を守る盾としては、よく働いたアルよ」
突き刺した短剣をゆっくり引き抜く。血が溢れ、北朝鮮の身体が膝から崩れ落ちる。
🇰🇵「な……んで……俺は……守るって……」
必死に伸ばした手を、中国は一瞥しただけで避けた。
🇨🇳「守る……? そんなもの、我には必要ないアル。必要だったのは……お前の“愚直さ”だけアル」
北朝鮮の目に涙が滲む。
🇰🇵「……裏切った……のですか……俺を……?」
中国は膝を折り、彼の耳元に顔を寄せた。
🇨🇳「裏切り……ふふ、違うアル。最初から……利用しただけアルよ」
🇨🇳「忠順な犬は、好きアルよ」
吐息がかかる距離で囁かれたその言葉は、刃よりも深く北朝鮮を貫いた。
🇰🇵「……っ……」
声にならない声を漏らしながら、彼の体は力なく横たわる。
中国は立ち上がり、赤い床を見下ろした。
その目に浮かぶのは哀れみでも後悔でもなく――冷酷な勝利の色。
🇨🇳「……我は弱くないアル。もう、誰にも縋らない」
そう呟き、血に濡れた短剣を軽く振って払った。
足音を響かせ、再び暗い廊下の奥へと歩み出す。
――背後に残された北朝鮮の体温は、急速に冷えていった。
『ほら、やっぱり言った通りでしたね』
『実に、愉快です』
『私の出番は、いつですか』
『もう少しじゃないですか。その時になったら一緒に行きますよ』
コメント
2件
そうだよなぁ、、、そうなんだよなぁ、、、中国さんのそういうところが好き 『』の方々誰だろう