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※内容がいじめとの関連性が高いため、閲覧注意とさせていただきます
𐙚ワンクッション𐙚
ある春の日、愛してやまないあの子が死んだ。死因は自死、屋上から落ちたらしい。私の知らない場所で。なぜ彼女がその選択を取ったのか、私にはすぐわかった。わかってしまった
きっと、彼女が受けていた陰湿ないじめのせいだろう。
あいつのやり方はよく知っている。物を隠したり、罵詈雑言を吐くことはせず、あくまでも手を汚さずに、彼女を加害者に仕立てあげ、孤立させた。偽りの正義を翳して、その偽りを盾にあの子を殺した。さぞや気分が良かっただろう
だから、突き止めることにした
全部全部。あの子がいないなら意味もない
せめてもの復讐として、あいつを絶望に叩き落とす
1日目。まずどれだけの人数が加担してたか知らなければいけない…が、それはもう既に知ってるので省こう。あいつは周りを巻き込んでただけで、実際に手を下したのはあいつだけだ
2日目。いじめの証拠を取る。
追記.成功、あの子のスマホをあの子が
死ぬ前に預かっていたから、少し
中身を見たら、動画、ボイスメモ
にも残っていた。私の知らない場
所で罵詈雑言もあの子に言ってい
たらしい。陰湿極まりない…が、
好都合、きっちり使わせてもらう
3日目。あいつの弱みを握る、例えば、高校。どこへ進学するか、家庭環境、全て突き止める
追記.これも成功、昔していたことを突き止めた。徹底的に潰せる
4日目。いつどうなってもいいようにだけしておく、この日記も、そろそろ燃やした方がいいだろう
5日目。これで記すのは終わりにする、私は、あいつを生き地獄へ落として差し上げなければいけませんから。あいつと似てしまった私の口調とも、お別れしましょう
そうして、あいつが居る教室へ向かう。あの子の机には花瓶が置かれていた。その風景が、本当に終わりなんだ。と再確認させる
「えぇ、皆様。少しよろしいでしょうか?」
朝、皆が揃った教室で、声を上げ、返事は聞かずに前に出る
「皆様は、あの子の死因についてはご存知でしょうか?」
そういうと、こそこそと小声で、
「自殺でしょ?」「飛び降り自殺だとか…」
と、聞こえてくる。
「いえいえ、違います。他殺ですよ、」
私はその小声に答えるように、そう喋る
教室内がざわめき始める。そろそろ頃合いだろう
「だってそうでしょう?陰湿ないじめに対して知らんぷり。見ないふりも同罪です」
「実行犯はもっと凶悪ですけれど」
教壇から少し歩き、あいつの机へ向かう。
不揃いのスカートに隠したカッターはバレないように。
「…ねぇ?実行犯さん」
あいつに聞こえるように、距離を詰めてそう言う
「は?証拠でもあるのかよ、証拠もなしに言ってんじゃねーだろうな」
あいつが言い訳でもするように喋る、その返しは予想済みだった
「えぇ、もちろん。証拠もなしに濡れ衣を着せるようなことはしませんよ。私はあなたの鏡ではありませんから」
そう言い、あの子のスマホを慣れたように開き、音量は最大で。周りにバレないように、あの子にだけ言っていた罵詈雑言を流す
「おまっ…どこでそれを」
「…あぁ、手が滑ってあなたが推薦を貰っている高校に送ってしまいそうです」
「やめろ!!」
「やめろ…じゃなく、それ相応の態度があるでしょう?」
「…お願いします、やめてください」
屈辱にまみれたその表情を、わざとシャッター音を出し写真に取る
「お前ふざっけんなよ!!!」
あいつは怒った様子で、こちらに向かってくる
「…あら、送ってしまいました。」
…まぁ、元々送っていたから今更なのだが。
「お前ぇ!!」
激昂した様子で掴みかかってきたので、スカートのポッケからカッターを取り出し、あいつの頬を掠める
「あら、またまた手が滑ってしまいました」
周りからひっ、と小さな悲鳴が聞こえてくるが、それも聞かぬ振りをして
あいつは殺されるとでも思ったのか、恐怖に染まった顔でこちらに許しを乞う
「ぁ…ごめんなさい、っ許して」
「…容易くあの子の心を傷つけておいて。涙なんて後悔なんて、随分都合がよろしいですね」
「手向けの謝罪は結構、願わくば同じ地獄で会いましょう?」
優しく微笑む、その微笑みには、嘲笑うような色も混ざっているが
「偽りの正義を振り翳して、それを盾にしてあの子を殺して。さぞや気分が良かったでしょう」
「その偽りが命を奪ったんですよ」
そうして、あいつらがあの子に見せたような嘲笑い顔でにこやかに微笑みかける。今更過ちにでも気づいたのか、ぶるぶる震え始める
その罪悪感で、生き地獄に囚われて。精々地獄の味を噛み締めろ
人の命を娯楽として使った貴方には、随分お似合いでしょうから
さて、そろそろ終わりにするか、そう思い、口を開く
「先に地獄で待っていますから。それまでどうかお元気で、それではまた会いましょう。」
あいつの血で濡れたカッターを持ったまま、屋上へ向かう
あの子と同じように、
「願わくば、またあの子と会えますように」
その願いが決して叶わないものだろうと、そう願ってやまなかった
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