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勇者受けが好きなので書いてみました。下手ですが、暖かい目で見てくれると嬉しいです。
夢を見た。
小さい頃の夢だ。
「僕が大きくなったら、絶対ゆうくんをお嫁さ
んにするの !」
懐かしい。あの頃は可愛かったな。
金色でさらさらの髪に海のような青くてつぶら
な眼、そして天使のような笑顔。
その笑顔に俺は一目惚れした。
「……くん。……うくん。ゆうくん!」
「……ん。」
「あ、やっと起きた!」
起きた瞬間目に入ったのは、金髪で後ろでひと
つに結び、海のような青の眼をもったイケメン
だ。
あれ、俺は夢を見てるのか?
「りぃくん、?」
「僕の事、覚えててくれたんだ!」
ぱぁっとそこにあるもの全てを照らすような
笑顔。うん、確かにりぃくんだ。
「でも、なんで……?」
「あれ、覚えてない?まぁ覚えてないか。
ゆうくんは勇者として魔王城に入ったじゃん?
そこまでは覚えてる?」
あぁ、そうだ。俺は6年前、12歳の時にスキル
判 定を受けた。するとなんと、俺には「勇者の
証」という勇者になる資格がある者だけに与え
られるスキルがあった。それで何年も修行を 積
んで勇者となり色んな魔物と戦い、やっと魔王
城に入ったんだ。りぃくんこと理人は一緒にス
キル 判定 を受けたけど何も教えてくれなくて、
その 数日後に俺の前から消えた。
「理人はなんでここに……?」
「そりゃ、勿論僕が魔王だからだよ。」
「……え?」
一瞬、言葉の意味が理解できなかった。理人
が魔王?そんなわけない。きっと、俺を安心
させるために冗談を言っているんだろう。
「はは、俺を安心させるために言ってるんだ
ろ?」
「いや、本当だよ。周りを見渡してみて。」
そこでやっと今俺がいる場所が分かった。
「え、ここ……魔王城?」
窓から見える景色に俺は口を開けた。外はどん
よりと真っ暗な空が広がり、上空にはドラゴン
が飛び回っていた。
「そうだよ。ゆうくんは今日から僕の『ペッ
ト』になるんだよ。」
「は……?」
「そりゃそうじゃん。僕、魔王だよ?ゆうくん
を簡単に帰すわけないでしょ。」
「え、いやいや帰してくれよ。」
「ヤダね。帰して欲しいなら今ここで僕の首を
切り落としてみてよ。」
「ッ……。」
俺には、初恋の人の首を落とすことは出来なか
った。
「出来ないでしょ?まぁ、実力的にも僕の方が
上だから出来るはずないんだけど。」
「お前のペットになったら俺を生かしてくれる
のか?」
「うん、そうだよ。」
「もし、俺が嫌って言ったら?」
「え〜どうしようかな。地下牢に閉じ込めてお
くとか?」
ゾク……ッ
背中に悪寒が走った。
怖すぎる。いつからこんな奴になったんだ。
「ペットって何するんだよ?」
「僕のお世話と僕の癒し。」
「は?癒し?」
「うん、僕に好きにさせてくれるだけで良いよ
」
なんか、思ってたのと違ったな。まぁ、嬉しい
が。
「分かった、条件を受け入れる。」
「そうこなくっちゃ。契約で良いよね?」
「おう。」
契約とはどっちかが条件を破ろうとした場合
相手が好きな罰を与えることが出来るのだ。
だから、例えば理人が俺を殺そうとした
ら契約違反となり俺が罰を決めることが出来る
。逆に俺が逃げたり本気で反抗しようとしたり
したら理人が好きに罰を決められる。
「よし、契約完了。じゃあとりあえず今日はゆ
っくり休んでよ。」
「分かった。」
「おやすみ。」
そう言うと理人は俺に近づき、「ちゅ」と
おでこにキスをした。
「え、は!?」
「じゃあね。」
にこ、と笑い手を振って出ていく理人。
俺はただ、頬を赤くすることしか出来なかっ
た。